剛男「本当に大きくなったな…。 あのなつが もう結婚か。」
なつ「何言ってんのさ… 父さんは心配してたでしょや。」
夕見子「そうそう 結婚は やっとでしょ。」
剛男「お前もな。」
田辺「これ 喜んで使わせてもらうよ ハハ。 このマークをつけて いずれは バターだけでなく いろんな乳製品を作りたいんだ。 何より 十勝のおいしい牛乳を そのまま 消費者に届けられるようにしたいからな。 なあ。」
夕見子「はい!」
なつ「夕見 十勝の牛乳のために頑張って!」
夕見子「うん。 飲めないけど頑張る!」
なつ「まだ飲めないんだ…。」
夕見子「うん。」
山田家
馬小屋
天陽「はい コーヒー。」
なつ「ありがとう。」
坂場「ありがとうございます。」
天陽「イッキュウさんのことは 兄からも聞いていました。 僕の絵を褒めてくれていたとか。」
坂場「あ いや… 褒めるなんて とんでもない。 ただ 勘当したと伝えただけです。 まさか 奥原なつさんの幼なじみだとも 知りませんでした。」
なつ「私は 天陽君から絵を教わったの。 天陽君と出会わなかったら 今の私はいなかった。」
天陽「それは お互いさまだよ なっちゃん。」
坂場「天陽さんにとって 絵とは何ですか?」
天陽「え?」
なつ「また始まった。」
坂場「絵を描くことと 畑で作物を作ることは違いますか?」
天陽「うん もちろん違いますよ。」
坂場「どう違いますか?」
天陽「どう?」
なつ「あ… 無理して答えなくていいからね。 何それ 分かんないって言う権利は 天陽君にあるんだから。」
天陽「どちらも生きるためにすることですけど。」
なつ「答えるの?」
天陽「畑仕事は食うためで 絵を描くことは排せつかな。」
坂場「排せつ?」
天陽「うん。 我慢できなくなると 漏らしてしまうでしょう。 そういうものですよ 絵は。」
なつ「それ 昔も言ってたね。」
坂場「なるほど…。 芸術的な価値を意識してないところに あなたの絵のすばらしさがあるんですね。」
天陽「絵の価値を描くなんて つまらないですからね。」
坂場「そうですね。」
天陽「したけど 人から褒められれば うれしいし けなされると悔しいんです。」
坂場「はい。」
なつ「うん そだね… そうやって 純粋に生きられたらいいね。」
天陽「僕が生きる場所を選んだように なっちゃんも 生きる場所を選んだだけなんだ 純粋に。 アニメーションの世界は 僕には分かりません。 なっちゃんと生きられるのは イッキュウさんだけなんです。 どうか なっちゃんのこと よろしくお願いします。」
坂場「あなたの絵を見て 僕も我慢できずに… 漏らしそうです。」
なつ<天陽君は やっぱり 私の一番の目標です>