なつ「ふ~ん。」
とよ「雪次郎! はい。 これ じいちゃんに持ってってやって。」
なつ「いいんですか?」
とよ「うん。」
なつ「ありがとうございます。」
とよ「はい。」
なつ「喜ぶと思います じいちゃん。 『開拓者の郷』…。」
雪之助「そう これが商品名だ。 つまり 十勝の歴史を今に伝えて 今の十勝の新しいバターを使った お菓子というわけだ。」
なつ「すごい…。」
とよ「売れるかね?」
妙子「売れますよ。」
とよ「材料費も いくらかかるか分からないのに。」
雪之助「大丈夫だ。 バターのことなら なっちゃんと相談してやっていくから。」
なつ「あっ… はい。」
雪次郎「俺は 東京に行かされるしな。」
雪之助「期待してるよ なっちゃん!」
なつ「はい。」
列車
天陽「なあ なっちゃん。」
なつ「うん?」
天陽「じいさんに相談してみれば いいんでないか?」
なつ「バターのこと?」
天陽「違うよ。」
なつ「じゃ 何のことさ?」
天陽「東京に行くこと。」
なつ「どうして?」
天陽「どうしてなんて… 自分で考えろよ。 お兄さんも 向こうにいるんだし 柴田家の人も ダメとは言わないんでないか?」
なつ「行きたいなんて言ってない!」
天陽「だったら行くなよ。」
天陽「俺 今度 スキー大会に出るから。」
なつ「えっ?」
天陽「開拓青年団の。」
なつ「出るの? スキー持ってたの?」
天陽「うん… 板につける金具はあるけど 板はない。 自分で作るわ。」
なつ「えっ!」
天陽「ハハハ…。」
なつ「大丈夫なの?」
天陽「大丈夫さ ハハハ…。」
なつ「作り方 知ってるの?」
天陽「知らん。」
なつ「はあ?」
天陽「ハハハハ…。」