連続テレビ小説「なつぞら」第8話「なつよ、夢の扉を開け」【第2週】

雪月

とよ「あっ… どうだった?」

泰樹「ダメだ。」

剛男「警察からも逃げたようです。」

とよ「まあ 逃げ足の速い子だねえ。」

妙子「お義母さん そのひと言 余計だと思いますけど。」

富士子「闇市を捜したんですけど どこにも いませんでした。」

妙子「それなら もう この近くには いないかもしれませんね。」

とよ「だから 逃げ足が速いんだろう?」

雪之助「だけどさ 子どもの足で そんな遠くまで行けないでしょう。」

雪次郎「ただいま。」

雪之助「お~ 雪次郎。」

雪次郎「なしたの?」

妙子「お前 あの子 見なかったかい? ほら この前 ここで 柴田のおじいさんと アイスクリーム食べてた…。」

雪次郎「ああ… 夕見子ちゃん?」

とよ「バ~カ。 あれは なっちゃん。 本当の夕見子ちゃんは そこにいるべ。」

雪次郎「えっ? あっ… なっちゃんより めんこい。」

夕見子「知ってる。」

妙子「ねえ そんなことより その辺で なっちゃん見かけなかった?」

雪次郎「見ないよ。 なして?」

剛男「やっぱり あの子は 東京に戻ろうとしたんです。 そのために 靴磨きをして お金を作ろうとしたんでしょうね。」

富士子「孤児院にいるお兄さんに合いたくて そこまで…。」

剛男「あのきょうだいは 特別な絆で結ばれてるんだ。 戦争によって そうなったんだ。 私が 初めて孤児院で会った時…。」

回想

浅草・孤児院

「こら! 向こうへ行ってなさい! すいません。」

剛男「初めまして 柴田剛男と申します。 君たちのお父さんとは戦友です。 戦地で ずっと一緒にいた。 とても仲よくしてもらってました。」

剛男「奥原咲太郎君と なっちゃんでしょ? 君たちを捜し回ったんだよ。 やっと会えた。 あの… もう一人 小さなお嬢さんがいらっしゃると お父さんから聞いてたんだけど まさか…。」

咲太郎「千遥は 親戚に預けました。」

剛男「親戚に? 妹さんだけ?」

咲太郎「まだ小さい妹だけならばって 連れてった。」

剛男「そうだったのか…。 それは つらかったね。」

咲太郎「せっかく ためたお金も ここのやつらに取られて…。 チクショー…。」

なつ「お兄ちゃん 大丈夫だよ。 千遥は 幸せに暮らしてるよ。 ここにいるより ずっといいよ。」

咲太郎「それで… 何の用ですか?」

剛男「ああ… 実は 戦死された君たちのお父さんから 手紙を預かってきたんだ。 それを 渡さなくてはと思ってね。 軍隊の検閲を通さない お父さんの本当の手紙だ。 君たちへの思いが込められてる。」

なつ「あっ おとうさんの絵だ!」

剛男「絵が とても上手だよね。 部隊では いろんな人の似顔絵を描いて お父さんは とても人気があったんだ。 明るくて 面白い人だったね。」

剛男「嫌な上官の似顔絵を 面白く描いて 暗い戦地で その時だけは 笑い声が起こった。 そのうち いろんな人から 家族の似顔絵を頼まれるようになって お父さん 一所懸命に その人から 特徴を聞いて 丁寧に 明るく すてきな絵を描いてね。 みんなに それで喜ばれて。」

咲太郎「どうも ありがとうございました…。」

剛男「ねえ あの… よかったら おじさんと 一緒に来ないか? おじさん 北海道に住んでるんだけど とても広い所だ。 ここより ずっと広い。 これから そこに帰るんだけど 一緒に来ないか? 君たちのお父さんと約束したんだ。 何かあった時には お互い助け合おうって。」

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