病室 夜
文也「なぁ 恵理。」
恵理「ん?」
文也「告白というか 聞いてもいいかな?」
恵理「何?」
文也「子供の時 あの小浜に いた時さ。」
恵理「うん。」
文也「何て言ったら いいのかな… 俺さ。」
恵理「何?」
文也「焼きもち やいてたんだ。」
恵理「え?」
文也「恵理は 俺より兄貴の方が 好きなのではと ずっと思ってた。」
恵理「え?」
文也「そう思ってた。」
恵理「バッカだねえ。」
文也「ああ 運命かぁ! 恵理に会えて よかった。」
恵理「文也君…。」
文也「怖い? 手術。」
恵理「全然。」
文也「本当か?」
恵理「うん 全然。」
文也「恵理さ 今 夢とかある?」
恵理「夢?」
文也「すぐじゃなくても『将来 こんなふうに なりたいな』とか。」
恵理「どうかな? ちょっとある。 最近 思ったこと。」
文也「へえ 何?」
恵理「そういうふうに 言うってことは 文也君が あるんでしょ? 先に言って。」
文也「こないださ 小浜で…。」
恵理「うん。」
文也「ほら こはぐら壮でさ。 俺 行ったら 島の おじぃや おばぁが わ~っと来たでしょ。」
恵理「うん。」
文也「あの時『こういうの 何かいいな』と 思っちゃったんだよね。 もちろん 今すぐではなく まだ 勉強しなければ いけない事 いっぱいあるけど」
文也「『いつか いつか あんな事が出来たらなぁ』と 地域医療とか 大げさではなくて ほら 学校に保健室あるでしょ? すごい病気や ケガでなくても 少し弱ってる時 保健室に 行くと ほっとするという おういうの あったでしょ?」
恵理「うん。」
文也「『あんな事が出来たらなぁ』って 思ってしまったんだ。」
恵理「そう。」
文也「うん。 あ 恵理は? ん?」
恵理「同じさ。」
文也「え?」
恵理「同じ事 私も 思ってしまった。」
文也「え? うそ。 思ってしまったんだ!」
恵理「うん。」
そうなるといいね 恵理 文也君
北栄総合病院
手術室
遥「大丈夫だよ。 大丈夫だから。」
文也「恵理。」
恵理「文也君…。」
文也「ん?」
恵理「結婚しようねぇ。 いつか 大人になったら…。 必ず…。」
回想
恵理「結婚しようねぇ! いつか 大人になったら 必ず 結婚しようねぇ! 文也君!」
回想終了