ダイニング
恵里「そう そんな事あったわけ。」
恵達「なんか複雑でさ やっぱり。」
恵里「そうだよね? うん。 そうだよね。 ごめん 恵達。」
恵達「何が?」
恵里「気の利いた事 言いたいけど 何て言っていいか 分からないさ。」
恵達「いいよ そんなの。」
恵里「うん。」
恵達「姉え姉えは それでいいよ。 人の話を聞く時に その人と同じ 気持になってしまう 姉え姉えは。 そういのって 悪くないと思うよ 俺は。」
恵里「それだけじゃ 看護婦としてはね。」
恵達「そうなの?」
恵里「そうなの!」
恵達「ま 頑張って。」
恵里「ありがとう。」
恵達「うん。」
恵里「うん?」
恵達「ん?」
恵里「何で あんたが私を励ましてる訳?」
恵達「は? 逆か?」
恵里「そうさ!」
恵達「ごめん。」
恵里「いや 謝らなくてもいいんですけど ていうか 私が ごめん。」
恵達「訳 分からなくなってきたな もう!」
恵里「でも すごいね。 あんたは つらい 気持を 勇気出して乗り越えてる。 あんた 弟でしょう? 姉え姉えの事 追い越して 成長ばかりしないで! かわいくないよ!」
恵達「は?」
恵里「子供の頃あんたの頭を ひっぱたいてた頃は よかったな。」
恵達「よくないよ よく泣かされてたさ。」
恵里「よく泣いたね あんたね。」
恵達「うるさいね。」
恵里「何で人は 大人になってしまうんだろうね? 何でだろ?」
恵達「小浜の頃のままで 文也君と 会いたかった?」
恵達「そうだ 姉え姉え。」
恵里「ん?」
恵達「聴いてくれる?」
恵里「え? 何を?」
恵達「歌なんだけどさ 俺と バンドの人達と 作った曲。」
恵里「うん。」
恵達「歌うのは これで最後にしようと思ってさ。」
恵里「え?」
恵達「だからさ 聴いてくれる?」
恵里「うん。」
恵達「じゃ いきます。」
恵里「はい。」
恵達♪『ロバの乳を飲んで チーズを食べて行こう ロバが疲れたなら 降りて引いて行こう もしもロバがダメで動けなくなったら」
恵達♪『空の見える丘に 骨を埋めていこう ありがとうを言って さよなら言って きっと探すからね 僕らの住める場所 ロバを連れて行こう どこでも行こう 僕らはひとつだよ ずっと ずっと行こう」