連続テレビ小説「あまちゃん」111回「おらのハート、再点火」

純喫茶・アイドル

春子「ミレニアムレコードの 制作本部長さんなんですね 今は。」

柏木「フフフッ。」

春子「ご立派になられて。」

水口「チーフマネージャーの水口と申します。」

柏木「まだ この業界にいたんだね。」

春子「ええ。」

(笑い声)

柏木「…で どういった ご用件で?」

春子「私じゃなくて 娘なんです。」

柏木「…娘?」

春子「アイドルになりたくて 岩手から上京してきたんですよ。」

柏木「歌唱力は?」

春子「そんなの 別の人に歌わせちゃえば いいのよ!」

柏木「アハハハッ 冗談きついな…。」

<スリーJの女社長 天野春子が ついに動き出しました>

春子「ここだけの話ですけど 柏木さんが気に入ってくれて ミレニアムから CDデビューが決まったんですよ。」

<嘘に嘘を塗り重ねて ママは交渉を続けました>

春子「困ったわ…。 馬場さんのところで 女優デビューする事が決まってるの。」

桂「ああ じゃあ 残念だけど…。」

春子「レギュラーだったら 向こう蹴りますけど。」

桂「レギュラーって… ちょっと 春ちゃん。」

春子「よろしくお願いします。」

水口「お願いします。」

アキ「お願いします。」

春子「私が果たせなかった夢を 娘に かなえてほしいんです…。(すすり泣き)」

<それは まるで アイドルになれなかった かつての少女 天野春子による 復讐劇を見てるようでした>

スリーJプロダクション

<そして ついに…>

春子「ざっと こんなもんよ。」

水口「すげえ…。」

春子「まあ 演技は素人だって 言ってあるしさ 最初は セリフも あったり なかったりだけどさ。」

黒川「ああ! これ パパの大好きな番組 温泉回るやつ!」

春子「よ~し 忙しくなるよ!」

アキ「やりだぐねえ。」

春子「え?」

アキ「ママ ごめん。 でも おら 今は 何にもやりだぐねえ。」

春子「ちょっと あんた 何 言ってんの? この仕事もらうために ママが どんなに苦労したか 分かってんの?」

アキ「インチキじゃん! これ 全部 ママのコネでしょ? おら 何にもしてねえ。 こんなんで 何の努力もしねえで ドラマだの バラエティーだの出たら 天狗になっちまう。

水口「あのね 世の中には テレビに出たくても出れない人が ごまんといるんだよ。」

春子「聞こう 聞こう アキの言い分。 最後まで聞いてみよう。」

アキ「だから 気持ちは うれしいけど おら… ズルしてまで仕事欲しくねえ。」

春子「ズルじゃないわよ!」

アキ「うわ~!」

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