連続テレビ小説「あまちゃん」145回「おらたち、いつでも夢を」

車庫

ユイ「地震の話よりさ 芸能界の話 何か聞かせてよ。」

アキ「え?」

ユイ「誰と誰が 仲悪いとか 誰が性格悪いとか聞きたい。 帰ってきて 1か月もたつのに アキちゃん 全然 話してくんないんだもん。」

アキ「ごめん 聞きたぐねえかなと思って。」

ユイ「地震の前はね。 アキちゃんが テレビ出ると 消してた。 CDも 一回も聴いてないし  映画も見てない。 ごめんね。 悔しかったし 嫉妬してる自分も嫌いだった。 周りも 私に 気 遣ってたのかな。」

ユイ「でも 今は もう悔しくないよ。 みんなも 私に 気 遣わないし。 悔しいとか 嫉妬とか そういう感情が湧くのって 元気な証拠なんだよね。」

<やっぱり重い。 表情や口調は明るいのに… 重い>

ユイ「ごめんね 重くて。 そろそろ行こっか。」

スナック・梨明日

吉田「♬『激しく』か…。 お座敷列車か… おらも 時々 夢に見るなあ。」

菅原「にぎやかだったもんね。」

吉田「もう あんな大勢 人が来る事なんて ねえがもしんねえなあ…。」

回想

♬『波打ち際の マーメイド』

一同「マーメイド!」

回想終了

大吉「懐かし…!」

アキ「懐かしんでる場合でねえべ!」

ヒロシ「アキちゃん!」

安部「うわっ 大吉っつぁん!」

アキ「あんなもんじゃね。 今のおらとユイちゃんが 本気出したら あんなもんじゃねよ! ごめん。 さっきまで ユイちゃんと しゃべってたんだけど あんまり張り合いねえがらさ! ユイちゃん いつから ああなった? 昔は もっと腹黒くて 自己中だったべ! 今は 何か 何 しゃべっても 作り笑いで うなずくだけで 何も返ってこねえ。 何か そういう ことわざ あるよね! 暖簾に 暖簾に… 押しずしみてえな!」

安部「腕押し!『暖簾に腕押し』!」

アキ「やるよ。 おら お座敷列車 ユイちゃんが やらなくても 安部ちゃんと2人でも やるよ!」

一同「いやいや いやいや…!」

安部「早すぎるべ!『いや いや いや』って否定するの 早すぎるべ!」

アキ「あんた方にとっては 懐かしい思い出かもしんねえが おらにとっては 大事なスタート地点だ! 海女カフェ復活に向けての 大事なチャンスだ! 真剣に やってもらわないと 困るんだ! あ…。」

回想

ユイ「遊びじゃないんだよ! アキちゃんにとっては 高校生活の思い出作りなのかも しれないけど 私にとっては 大事なチャンスなんだ! 真剣に やってくんないと 困るんだ!」

回想終了

ヒロシ「どうしたの?」

アキ「何でもねえ!」

坑道

ラジカセ・GMT5♬『地元に帰ろう』

♬~(ラジカセ)

水口「御無沙汰してます。 お元気ですか? あれから 勉さんの教えを胸に 原石を… アイドルの原石を磨いてきましたが 何て言うか 志半ばで 断念して 戻ってきました。 初心に返って 今度こそ 今度こそ 本気で 琥珀と…。」

勉「うるせえな!」

水口「す… すいません。」

勉「口じゃなくて 手 動かせ。」

水口「え?」

勉「こん中にあるべ。 道具。 忘れたか?」

勉「ついてこい。」

水口「はい。」

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