中へ
裕一「えっ? 店 どうしたの?」
三郎「あ~ もう やってねえんだ。」
裕一「えっ!? ちょ… 店 閉めたの?」
まさ「いろいろあってね… 浩二に負担かけるばっかりだったから 半年前に お店閉めたの。」
三郎「こっちから閉めてやったんだよ。 ハハハ。」
裕一「それ… 僕のせいだよね?」
三郎「おめえには関係ねえ。 ほら 入れ。 ほれ… よいしょ。」
三郎「ベロベロバ~。 ベロベロバ~。 わわわわわわ… フフフ。」
裕一「父さん なかなか連絡できずで 本当にごめん。」
音「すみませんでした。」
三郎「いいんだよ。 便りがねえのが元気の証拠なんだから。 風のうわさで 裕一の活躍ぶりは なんとなく知ってたしよ。 ヘヘヘ…。」
華が泣く
三郎「ふう~!」
音「おがげさまで 私も華も 元気でやれております。」
まさ「それは よがったわ。」
音「手伝います。」
まさ「いいから 華ちゃん見てて。」
三郎「ほい そうだ そうだ。」
裕一「これ 東京のお土産。」
三郎「そだに気ぃ遣うな。」
裕一「あれ? 浩二は?」
まさ「役場で働いてる。 農業推進係っていうところでね 毎日 朝から晩まで働いてる。 あっ… そうだ! ねっ これ 見て。」
まさ「面白い形でしょ? 兄さんがね 趣味で 土いじり始めたらしくって。」
裕一「茂兵衛伯父さんが?」
まさ「もう 要らないって言うのに 次から次へと どんどん送ってくんのよ。」
裕一「へえ~。」
音「すてきですね!」
まさ「いつか お茶会やんのが夢なんだって。 才能あっと思ってんだから。」
三郎「『下手の横好き』よ。 へへッ。 よし! 今夜は久々に宴会だ。」
裕一「えっ?」
宴会
まさ「召し上がって下さい。」
三郎「めでたい! 今夜は裕一の凱旋祝だ! みんな ジャンジャン飲んでくれ。 ほら 来たぞ 来たぞ! お~ 空けて 空けて。」
レコードを流す三郎さん
♬~(『船頭可愛いや』)
落合「おおっ ハハハハ…。」
三郎「裕一!」
楠田「よっ!」
♬『夢のぬれましょ』
落合「そ~れっ。」
♬『潮風夜風』
三郎「あ~ いいな~!」
♬『船頭可愛いや』
三郎「俺も飲んじゃおうかな もう。」
裕一「つごうか?」
三郎「いいよ。」
♬『船頭可愛いや 波まくら』