連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第145話「独立宣言」

喜子「辞退させるって 幾らなんでも それはひどいよ!」

布美枝「そうだよねえ。」

喜子「お姉ちゃん あんなに頑張ったの 人生で初めてだと思うよ。 ねぼすけのくせに 毎日 夜中すぎまで 勉強してたんだから。」

布美枝「偉いわ。 あら… 喜子 あんたも 今 受験生じゃないの?」

喜子「まあまあ 私の話は いいじゃない。」

布美枝「また そうやってごまかして!」

喜子「お姉ちゃんが かわいそうって いうのもあるけど 2人に 不機嫌な顔 されたら こっちまで緊張しちゃうよ。 ご飯も砂を噛むような味気なさだ。」

布美枝「あんた 難しい言葉知っとるね。」

喜子「家庭不和が続くと 私だって受験勉強 手につかないし お母ちゃん なんとかしてよね。」

布美枝「はい…。」

子供部屋

布美枝「藍子…。 勉強しとるの?」

藍子「うん。 教職の単位 取り落としたら お父ちゃんの思うつぼだもん。」

布美枝「ねえ お父ちゃんに あんまり ポンポン言わんでよ。」

藍子「だって めちゃくちゃなんだもの 人の言う事 全然聞かないし。 『辞退しろ』って 何よ!」

布美枝「藍子…。」

藍子「昔っからそう。 中学生の時 私が 『漫画家になりたい』って 言ったら 一日中 点々と渦巻き 描かせて 嫌気を起こさせて。」

布美枝「それは 漫画で食べていく大変さ お父ちゃんが 一番よく知っとるけん。」

藍子「高校生になって 『アニメーターになりたい』って 言った時も 知り合いのアニメ会社が つぶれた話 さんざん聞かせれて。」

布美枝「そげだったねえ。」

藍子「いっつも私の夢を 打ち砕くんだから!」

布美枝「藍子が怒るのは分かるよ。 けど お父ちゃん 今 ちょっこし 慌てとるんだわ。」

藍子「…慌ててる?」

布美枝「藍子が 当分 そばにおって くれると思っとったけん。 もしかしたら 家を出ていくかもしれんって 動揺しとるんだよ。 もう少し 時間かけてみようよ…。 お父ちゃんと けんかせんで…。 ね!」

藍子「私… 遠い所の学校の方が いいと思ってるんだ。」

布美枝「えっ?」

藍子「その方が 水木しげるの娘だって 知られずに済むし。」

布美枝「藍子…。」

藍子「特別な目で見られるのも お父ちゃんに振り回されるのも もうたくさん。」

布美枝「お父ちゃん あんたの事を 心配しとるんだよ。」

藍子「それは 分かってる。 私だって お父ちゃんの事が 嫌いな訳じゃないよ。 でも 私は 水木しげるの娘じゃなくて 村井藍子として やっていきたいの。 私… お母ちゃんとは 違うんだから。」

布美枝「違うって?」

藍子「いっつも お父ちゃんが 一家の中心で 言う事は 何でも聞くっていうのは 私 おかしいと思うもの。」

布美枝「お母ちゃんだって 何でも聞いてる訳じゃ…。」

藍子「とにかく 私は私で やっていくから。 自分の事は 自分で決めます!」

布美枝「藍子…。」

台所

布美枝「藍子 そげな事を思っとったんだ…。 (ため息) けど… お父ちゃんは やっぱり 一家の柱だもんなあ。」

<藍子の 突然の独立宣言に 布美枝の心も揺れていました>

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