連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第145話「独立宣言」

靖代「要は あれでしょ 水木先生は 藍子ちゃんを 手放したくないだけでしょう。」

徳子「なにも 外国 行くってんじゃあるまいし。 東京の どこかでしょう?」

和枝「う~ん でも 東京って広いからね。 ほら 島だってあるじゃない?」

布美枝「最初の赴任先が 遠方になるのは よく聞きますけど。 はあ うちの人 藍子が 家を出る事になるのを おそれとるんですよ。」

靖代「まあ 嫁に出すまでは 手もとに置いときたいって こう 親心だねえ。」

和枝「親心は 理屈じゃないからねえ。」

布美枝「落ちると たかをくくっておったんで もう 露骨に がっかりして。」

徳子「嫌だ 藍子ちゃん かわいそうに あんなに喜んでたのにねえ…!」

和枝 靖代「ほんとにねえ!」

布美枝「もう 困ったなあ。 どっちの 気持ちも 分かるんですけど。」

靖代「布美枝ちゃんも つらいとこだわねえ。」

布美枝「どうしたら いいでしょう?」

3人「…う~ん!」

水木家

客間

茂「藍子の事だけどな。」

布美枝「ええ。」

茂「あれ 辞退するよう勧めてみるか?」

布美枝「辞退って 教員の採用ですか?」

茂「相沢君に聞いてもらったんだ。 ほれ 奥さん 学校に勤めとるけん。」

布美枝「ああ はい。」

茂「補欠の合格者がおって 辞退者が出たら 繰り上げ合格になるらしいぞ。 だけん 今 断ったら 人助けにもなる。」

布美枝「そげな事 藍子が承知せんですよ。」

茂「だら! 遠くに行く事が決まってからでは 手遅れになるわ!」

布美枝「まだ どこに行くか 分からんじゃないですか。」

茂「いいや 危ない。 落ちるはずが 受かってしまったけん。 何が起きるか分からん!」

布美枝「あの お父ちゃん…。」

茂「辞退させよう。 先々の事 考えたら 今 ここで 辞退させるのがええ!」

布美枝「お父ちゃん!」

藍子「お父ちゃん。 何 言ってるの?」

茂「お前 お おったのか…。」

藍子「辞退なんかしないよ。 せっかく受かったんだから。」

茂「悪い事は言わん。 教員は やめとけ!」

藍子「お父ちゃん おかしいよ! 『人は好きな事して生きるのが 一番だ』って いっつも言ってるくせに!」

布美枝「あのね 藍子。」

藍子「学校の先生の どこが気に入らないの! 普通は 子供が『教員になる』って 言ったら 親は喜ぶもんだよ!」

茂「普通は どげでもええわ! お父ちゃんは うれしくない!」

台所

喜子「どうなってんの?」

布美枝「うん… ちょっとね。」

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