布美枝「商店街。 パーティーには 来てもらえんだったけど 記念品だけでも 差し上げたいけん。」
喜子「うん。」
(電話の呼び鈴)
布美枝「はい 村井でございます。 あ 靖代さん! 今 そっちに 行こうと。 え? はい それじゃあ。」
玄関
一同「こんにちは~!」
布美枝「あら! おそろいで。」
靖代「20周年」
一同「おめでとう!」
布美枝「え?」
徳子「お祝いに押しかけてきたの。」
靖代「実はさ パーティ会場に お花でも贈ろうって みんなで 話してたのよ。 けどさ 仕事の会にまでねえ しゃしゃり出るのも どうかと思ってね。」
徳子「でもさ 何かしたいじゃない!」
和枝「それで 押しかけ祝賀会。」
布美枝「あ~ 皆さん!」
靖代「ちょっと! お祝い 連れてきたわよ!」
布美枝「連れてきた?」
靖代「はいはいはい!」
布美枝「亀田さん。」
亀田「どうも~!」
徳子「いや もう この人じゃない! 分かってますよ! 私はほんの おまけ。 真打ち 真打ち! はい!」
和枝「ほら 入って 入って。」
亀田「怖くないから はいはいはい!」
太一「ごぶさてしてます。」
布美枝「あ~ 太一君!」
客間
靖代「まあ~ 面白いわね この湯飲み!」
亀田「特注?」
布美枝「それを 届けに行こうと 思っとったんですよ。」
亀田「それ 私も頂いていいのかな?」
布美枝「もちろんです。 一六銀行さんには 長々お世話になりました。」
和枝「銀行だって。 いよ! 頭取!」
亀田「コホン! ハハハハ!」
布美枝「太一君は 今 福島なんでしょう?」
太一「あっちに 工場が移って それから ずっとです。」
靖代「ちょっと あんた 今 工場長なんだってさ!」
布美枝「わあ すごい!」
太一「いや 年の順で。 年賀状ばっかりで なかなか 顔も出せず すいませんでした。」
布美枝「いいえ こちらこそ。」
太一「靖代さんから 20周年の話 聞いて 俺も何か お祝いしたくなって。」
徳子「寄り道してきたのよね。」
太一「はい。 これ 預かってきました。 こみち書房の おばさんからです。」