靖代「あら そうなの?」
亀田「え? 忘れちゃった。 ヘヘヘヘ!」
太一「先生!」
茂「あれ? あんた…。」
太一「ごぶさたしてます。」
茂「ああ~! 詩人の!」
太一「詩人か…。 はい。」
茂「詩は 書いとるんですか?」
太一「趣味で細々と。」
茂「そら ええですな。」
太一「先生の漫画も ずっと読んでます。 最初の『鬼太郎』とは 今のは 大分 違うけれども やっぱり先生の作品は 面白いです。」
茂「あんた 貸本の時代から 『鬼太郎』の世界を よう 分かっとったからな。」
太一「俺は 大勢の中の一人です。 何万か何百万か 数は 分からないですけど 大勢の読者が 俺と同じように 『鬼太郎』を応援してるんです。 先生の漫画を 楽しみに待ってるんです。 描き続けて下さい。 俺は ずっと 読み続けます。」
茂「うん。」
靖代「まだまだ 先が長いですね。 先生 たくさん 食べて 力 つけないと!」
布美枝「あら! お茶がないですね!」
<太一は 布美枝が 最初に出会った 茂の漫画の読者でした。 会った事のない大勢の読者 その人達も また 茂の漫画を 支えてくれていたのです>
布美枝「たくさんの人達に… だんだん。」
<水木プロ20周年の夏は こうして 賑やかに過ぎていきました>
<そして 秋風が吹き始めた 9月の末 安来から 悲しい知らせが 届いたのです>
夫婦の寝室
布美枝「おばば お父さんが…。 そっちに行ってしまったよ。」
茂「一緒に送りに行くか。」
布美枝「仕事は ええの?」
茂「なんとかなる。 みんなで行こう。」