朝市「(小声で)おかあ…。」
蓮子「どうぞ。」
リン「はあ…。」
吉平「龍一君。 うちは 東京け?」
龍一「ああ はい。」
吉平「もうじき 孫が生まれるから 親御さんも喜ぶら。 ハハハ。」
龍一「いえ… 父は 既に亡くなってますし 勉強もしないで 演劇ばかり やっていたので 母からも愛想尽かされて… 勘当されたんです。」
ふじ「てっ! 勘当。」
龍一「今は 弁護士目指して 真面目に大学行ってますけど…。」
蓮子「父親になるんだから こぴっと頑張ってもらいます。」
朝市「大学で 好きな学問を 思いっきし できるなんて おらにとっちゃ 夢みてえな話だ。」
リン「朝市は ほんなこんより 早く結婚して 早く 孫の顔を見してくれちゃ!」
朝市「分かってるよ。 てっ おかあ!」
リン「どうでえ? 似合うけ?」
(笑い声)
ふじ「リンさん!」
吉平「龍一君。 こぴっと精進して 立派な弁護士になれし。」
龍一「はい。」
吉平「ほうして いい父親になるだよ。」
龍一「はい。」
ふじ「生まれてくるボコが きっと また お母さんとの縁を つないでくれるら。 ほうしたら 蓮子さんにも 東京のおかあができるじゃんね。」
蓮子「ええ。」
花子「蓮様。 これからは きっと いい事ばっかりよ。」
蓮子「はなちゃん お父様 おかあ リンさん 朝市さん。 ありがとうございます。」
龍一「ありがとうございます。」
蓮子「この子が無事に生まれて 大きくなったら教えてやります。 『あなたは こんなに 温かい人たちに囲まれて 祝福されて 生まれてきたのよ』って。 こんなに幸せな事はありません…。」
龍一「僕も蓮子も 世間を 全て敵に回したと思ってたのに…。 本当にありがたいです。」
花子「そうだ。 赤ちゃんの名前 決まりましたか?」
龍一「それが なかなか決められなくて。」
朝市「へえ~!」
蓮子「すてきな名前。」
花子「本当ね。」
吉平「急がんきゃ 本当に生まれちもうぞ。」
(笑い声)
吉平「グッド モーニング。」
龍一「おはようございます。」
蓮子「おはようございます。」
龍一「お父さん ゆうべは 楽しかったですね。」
吉平「おう 龍一君。 出かけるじゃん。」
花子「おとう… どこ行くでえ?」
吉平「牧師様に 安産のお祈りをしてもろうだ。」
ふじ「歩が生まれる時も おとう 教会でお祈りしてもらっただよ。」
花子「ほれじゃあ 蓮様の分も こぴっと お祈りしてもらってくりょうしね。」
蓮子「お願いします。」
吉平「じゃあ 行くぞ!」
龍一「はい。 行ってきます。」
吉平「歩も行くよ~。」
ふじ「お願えしやす。」
吉平「ほらほらほらほらほら。」
蓮子「行ってらっしゃい。」
花子「行ってらっしゃい。」
吉平「行ってきます。」
ふじ「行ってこうし。」
花子「おとう… 息子が1人増えたみたいじゃんね。」