あらすじ
村岡家に石が投げ込まれるという事件が起きた。犯人がまだ年端も行かない子どもだったことに驚きを隠せない花子(吉高由里子)。カフェーでかよ(黒木華)にその件を話すと、かよは意外にも、花子たちにも責任があるのでは、と言う。花子はもも(土屋太鳳)から、旭(金井勇太)が花子の仕事のことで近所の人からなじられた話を聞き、ショックを受ける。そのころ、吉太郎(賀来賢人)が村岡家に英治(鈴木亮平)を訪ねて来る…。
140回ネタバレ
カフェー・タイム
醍醐「はなさん 私 シンガポールへ行く事にしたわ。」
花子「えっ?」
醍醐「貿易会社をしている父のつてで 出発する事にしたの。」
宮本家
居間
蓮子「遠くに行かれるんですね。 お帰りは…。」
龍一「今度は 長くなるかもしれない。 半年か… 1年。 とにかく この戦争を 一日も早く終わらせなければ。」
村岡家
居間
(ガラスが割れる音)
『非国民!』
玄関前
英治「待ちなさい!」
2人「非国民!」
居間
美里「お母様 怖い。」
花子「大丈夫よ 大丈夫だからね。」
<それぞれが 戦争の波にのみ込まれていました。>
カフェー・タイム
かよ「それで… 石を投げた犯人は見たの?」
花子「それが 美里と同い年ぐらいの 男の子だったの。 非国民って叫んで…。」
もも「きっと 軍国少年だね…。」
(ため息)
かよ「石を投げられたのは お姉やんたちにも 責任があると思う。」
花子「えっ…。」
かよ「お姉やん… 本当に分かってる? お姉やんたちが どう見られてるか。」
花子「どうって…。」
かよ「もも。 あの話 お姉やんに ちゃんと話した方がいいよ。」
もも「いや…。」
花子「えっ 何? もも。」
もも「お姉やん… 美里ちゃんに 『ラジオのおばさんを辞めたのは 戦争のニュースを読みたくないからだ』って言ったそうね。」
花子「ええ 言ったわ。」
もも「旭さんも 近所の人に聞かれたんだって。 お姉やんは どうして 日本軍の 勝利のニュースを読みたくないのか。 日本が負ければいいと 思ってるのかって。」
花子「そんな事…。」
かよ「お姉やんが 英語の仕事をしてる事は 大勢の人が知ってるし お姉やんの家に 外国人が出入りしていた事も 近所の人たちは みんな知ってるんだよ。 敵国の言葉が分かって 敵国に知り合いがいるだなんて 近所に人たちは みんな よく思ってないんじゃないかな。 お姉やんの家には 英語の本や 敵国のレコードもあるでしょう? こんな時だし 本当に気を付けないと もっと ひどい目に 遭うかもしれないよ。」
(戸が開く音)
かよ「いらっしゃいませ。」
「やあ かよちゃん。」
かよ「先日は どうも。 さあ どうぞ。」
かよ「お姉やん。 これで 美里ちゃんに 甘いものでも作ってあげて。」
花子「えっ…。 お砂糖なんて どうしたの?」
かよ「うちの店は 軍人さんのご用が多いから いろいろ都合してもらってるの。 甘いもの 食べれば お姉やんも元気になるよ。」
花子「ありがとう。」
かよ「うん。 じゃあ。」
村岡家
居間
英治「ご心配をおかけして すみません。」
吉太郎「もし また 何か されるような事があったら すぐに知らせて下さい。」
英治「はい。 あっ 花子 もうじき 帰ってくると思いますから。」
吉太郎「いえ。 今日は 英治さんに お話があって来たんです。」
英治「えっ… あっ 私に?」
吉太郎「失礼ですが… 青凛社の方は いかがですか?」
英治「はあ…。 正直にお話しすると かなり厳しい状況です。 雑誌も 休刊せざるを えなくなりましたし 印刷の受注もなくて…。 近いうちに 閉める事になるかもしれません。」
吉太郎「差し出がましいようですが 軍関係の印刷の仕事をなさったら いかがでしょうか。」
英治「軍の仕事… ですか。」
吉太郎「軍の仕事でした 優先的に 紙とインクが配給されますし 自分も お役に立てるかと。」
英治「あの… それは 花子がお願いしたんでしょうか?」
吉太郎「いえ はなは何も。 私の考えです。」
英治「そうでしたか。」
吉太郎「いかがですか?」
玄関
花子「ただいま帰りました。」
居間
花子「英治さん?」
工房
花子「英治さん。」
英治「ああ…。 お帰り 花子さん。」
花子「今日ね かよのお店で お砂糖をもらってきたの。 美里が学校から帰ってきたら 久しぶりにお菓子を焼くわね。」
英治「ああ。」