講堂
蓮子「来たわ。」
葉山「ジュリエットだと?」
園子「あなた。 どんな役なんですか?」
葉山「主役だ。 あの恥さらしが…。」
ブラックバーン『おとなり空いていますか』
葉山「『ブラックバーン校長 どうぞお座りください』 この演目は 品行方正であるべき ここの生徒に ふさわしくないですね。 『舞台、中止にしませんか?』」
(開幕のベル)
蓮子「なぜ 私が この役をやりたかったか 分かりますか?」
はな「えっ?」
蓮子「私も ジュリエットのように 家に縛られて不幸になったから。 兄が決めた人と 無理やり結婚させられたの。 その時 私は まだ14で 右も左も分からなかった。」
はな「14歳…。」
蓮子「あなた同じ16の時に 子どもを産んだの。 でも その子も奪われて…。 もともと家の名を守るためだけに 仕組まれた結婚だったの。 今の私は 空っぽ。 生きていても しょうがないの。」
はな「そんな…。」
蓮子「はなさんとは 住む世界が違うの。 友達になんか なれっこないでしょう。」
(開幕のベル)
蓮子「これ以上 私に近づかないで。」
はな「嫌です そんなの。 なぜだか分からないけど ほっておけないんです 蓮子さんの事。」
(拍手)
はな「あなたは 空っぽなんかじゃない。」
『おお ジュリエット。 そなたこそ 私の妻にふさわしい。 どうか 私と結婚してくれ!』。
(拍手)
<さあ 幕が開きました。>
蓮子『ああ どうすればいいの? パリス侯爵の愛を受け入れる事など 私には 到底できませんわ』。
<ごきげんよう。 さようなら。>