<ひとつきが過ぎ はなの最後の出勤日の事でした。>
「安東君。」
はな「はい。」
「ここの翻訳 合ってるか確認できる?」
はな「はい。」
(においを嗅ぐ音)
はな「燃えてますよ!」
英治「えっ? あっ!」
「ちょっと 手伝って手伝って!」
英治「今日 入稿する翻訳原稿が…。」
「すいません!」
「参ったな…。 編集長は いないし… どうしよう。」
英治「どうしましょう…。」
はな「あっ あの! 英語の原文は ありますか?」
英治「はい! これです。 え~っと 燃えたのは… ここから ここまでです!」
はな「私に翻訳させて下さい!」
「安東君 今日中だよ。 できる?」
はな「やってみます!」
英治「お願いします!」
はな「あの… 辞書下さい!」
英治「はい! 辞書! あれ? あの… ここにあった 英和辞典 知りませんか?」
「誰か 辞書を使ってるか?」
「須藤さんが 外に持ってったみたいです!」
英治「じゃあ うちの会社の辞書 取ってきます!」
はな「それなら 学校の方が近いです! 修和女学校の図書室なら ヘボンの英和辞典がありますから。」
英治「学校!」
「あっ 英治君 帽子!」
はな「あっ! 男子禁制…。」
修和女学校
校庭
白鳥「やあ!」
英治「うわっ! ちょっと… ああっ!」
ブラックバーン『何事ですか』
白鳥「不審者がいたので 捕まえました!」
英治「ご… 誤解ですよ! 僕は…。 ああ…。 『あなたに…アゲマス 安東さん 辞書』 ああっ! あ~!」
ブラックバーン『何を言っているかわからない 辞書がどうかしたんですか?』
英治『彼女はこの学校の…生徒で』
ブラックバーン『うちの生徒に 何をしたんですか』
英治「駄目だ 全然通じない。」
白鳥「ブラックバーン校長 警察に通報致しましょう!」
英治「えっ? あ~! だから 違うんですって!」
はな『ブラックバーン校長! 申し訳ありません 私がお願いしのです 仕事で辞書が 必要なんです 急いでいたので 男子禁制のことも忘れて』
英治「うわ~!」
はな『本当に申し訳ありません』