連続テレビ小説「花子とアン」第73回「その恋、忘れられますか?」【第13週】

カフェー・ドミンゴ

田中「この間 お前が絡んだ 嘉納伝助夫人 筑豊のお屋敷で サロンだの音楽会だの開いて ぜいたく三昧だと。」

龍一「全部 炭鉱の労働者から 搾取した金じゃないか。 最低の女だな。」

「嘆かわしい。 帝大生ともあろう者が 三面記事で人を判断するとは。」

龍一「何だよ あんた?」

「詩人のボアローは こう言ってる。 『批評は たやすく 芸術は 難しい』。 ごちそうさま。」

かよ「ありがとうございます。 ただいま お釣りを。」

「いや 結構。」

かよ「ありがとうございます。」

田中「装丁は 竹久夢二か。 金だけは かかってるな。」

玄関前

はな「あっ ごきげんよう。 また お会いしましたね。」

「君は まだ 田舎に帰ってなかったのかね。」

ホール

かよ「いらっしゃいませ 醍醐さん。」

醍醐「ライスカレーをお願い。」

かよ「…はい。 お姉やんは?」

はな「私も。」

かよ「お待たせしました。」

はな「あの… 醍醐さん お話って…。」

醍醐「私 ゆうべ 見たの。」

はな「えっ?」

醍醐「見たくないけど 見てしまったの。 雨の中で はなさんと英治さんが…。 一体 いつから 英治さんとは そういうご関係だったの?」

はな「あ… ち… 違うの! あれは… 何というか… 事故のようなもので!」

醍醐「あれが事故? 随分 すてきな事故だこと! 私は まだ 男の方と 手をつないだ事しかないのに! 私とした事が うかつだったわ。 英治さんが好きなんでしょう? 私 はなさんには 負けませんからね! 頂きます。」

聡文堂

英治「こんにちは。 村岡印刷です。」

醍醐「お待ちしていたんですのよ。 お帽子 お預かりします。」

英治「すいません 醍醐さん。」

醍醐「いえ。」

郁弥「こんにちは  先日は どうも。」

はな「あっ いえ こちらこそ。」

英治「今日は 弟も連れてきました。 イギリスで 最新の印刷術を 学んできたので お役に立つかと思って。」

梶原「大歓迎だよ。」

郁弥「よろしくお願いします。」

梶原「よし! 編集会議 始めよう。」

一同「はい!」

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