書斎
花子「み~んな 歩の顔 見に来てくれたのに 蓮様 ちっとも来てくれませんね。 生まれたら すぐ来てくれるって おっしゃってたのにね。」
旅館
<その頃蓮子は 東京に来ていたのです。 ところが 花子と赤ちゃんに 会いに行くというのは 真っ赤な嘘でした。>
嘉納「やっと会えるな。 会うとやろ? はなちゃんと赤ん坊に。」
蓮子「ええ 楽しみです。 あなたは 4時の汽車でしたわね。」
嘉納「ああ。」
蓮子「お迎えの車 もう 呼んでありますから。」
嘉納「へえ。 お前にしては 気が利くな。 どげしたとか? 箸もつけんで。」
蓮子「あまり おなかがすいていなくて。」
嘉納「じゃ 行ってくる。」
蓮子「はい。」
嘉納「はなちゃんに よろしくな。」
蓮子「行ってらっしゃいませ。」
嘉納「おう。」
龍一宅
龍一「待ち合わせは 5時に あのカフェーだ。」
田中「白蓮が現れなかった場合は?」
龍一「いや 必ず来る。 蓮子さんは 必ず来てくれる。」
村岡印刷
花子「はい お弁当。」
英治「ありがとう。 でも 君は 翻訳の仕事もあるんだから 無理するなよ。」
平祐「まだ 仕事やめてないのか。」
花子「はい。 これ 郁弥さんの。 それから… 今日は お義父様の分も作ってきました。 どうぞ。」
郁弥「お義姉さん ありがとう。 頂きます。」
英治「頂きます。」
平祐「じゃあ 頂くか。」
花子「どうぞ。 お口に合うか分かりませんけど。」
英治「蓮子さんから まだ連絡ないのか。」
花子「どうしたのかしら…。」
英治「電話してみれば いいじゃないか。」
花子「ええ。」
嘉納邸
花子『恐れ入りますが 蓮子さんは いらっしゃいますでしょうか?』
タミ「奥様は 東京に 行っとらっしゃあですけど。」
花子『てっ… 東京? 本当ですか?』
タミ「もしかしたら 奥様のお友達の はなちゃんですか?」