連続テレビ小説「花子とアン」第98回「腹心の友ふたたび」【第17週】

嘉納「分からん…。」

黒沢「嘉納さん。 反論文を公表するなど あなたらしくない。 考え直して下さい。」

下山「ばってん 恩を仇で返したとは あっちですばい。」

嘉納「いや。 反論文を出すとは やめた!」

下山「そげな…。 ちょ…。 嘉納さん! ちょっと待っ…。」

(ドアが閉まる音)

下山「お前は 何を考えちょるとか! こげな最高のネタを 潰すやつがあるか!」

黒沢「我々には もっと描くべき事が あるはずです!」

下山「おい…。」

タミ「下山しゃん。 旦那様の反論を 新聞に出しちゃってくれんね。 あのお姫さんに言われっ放しじゃ 腹の虫が治まらんばい。 やられっ放しじゃ 筑豊の男たちの気も 治まらんとですよ! 旦那様には うちから報告しちょきますき。 うちも取材に協力するき。」

村岡家

居間

花子「あっ お義父様。」

平祐「おお…。」

花子「おはようございます。」

英治「父さん。 どうしたんですか? こんなに早く。」

平祐「石炭王の反論文が出た。」

英治「えっ?」

花子「てっ…。」

龍一宅

龍一「『お前に 人の妻としての資格がない事は 紛れもない真実だ』だと? 自分は一切悪くないとでも 言うのか!?」

蓮子「そんなに怒る必要ないわ。」

龍一「こんなふうに書かれて あなたは 頭に来ないのか!」

蓮子「世間に どう思われていようと そんな事は もう どうでもいいのよ。 全て覚悟の上の事よ。」

龍一「蓮子…。」

蓮子「さあ 朝食に致しましょう。 私 この お芋を焼いた料理が 気に入ったわ。 今 お茶入れるわね。」

村岡家

居間

醍醐「結納金だの お小遣いだの 歌集の出版費だの 嘉納伝助さんの主張は お金の事ばかり!」

花子「きっと 嘉納さんは 愛情を表現するのが 不器用な人なんだと思う。 でも この反論記事は 許せないわ。」

醍醐「そうね。 私 ずっと 蓮子様は ぜいたくな暮らしがしたくて 石炭王と結婚したと思ってたの。 でも それは誤解だって この記事を読んで分かったわ。 蓮子様は お家の犠牲になっていたのね…。 きっと この10年 帰る所もなくて 遠い福岡で 寂しい思いを なさってたんだわ…。」

花子「蓮様と東京で再会した時に 言ってたの。 修和にいた半年間だけが 宝物のような時間だったって…。」

醍醐「私も もっと あの方に 優しくしてあげればよかった…。」

花子「醍醐さん…。」

醍醐「すごく恥ずかしいけど 私… あのころ はなさんを 蓮子様に取られたみたいで やきもちをやいてたの。」

花子「えっ?」

醍醐「今頃になって やっと分かったわ。 はなさんは あの方の孤独や悲しみを ほっておけなかったのね。 はなさんと蓮子様は やっぱり腹心の友よ。」

花子「醍醐さん…。 醍醐さんの事も 私 本当に大切な友達だと思ってるわ。」

醍醐「はなさん…。」

花子「醍醐さん 最初に会った時から いつも 私を助けてくれたじゃない。 本当にありがとう。」

醍醐「そんな…。 お礼を言うのは 私の方だわ。 はなさんには いつも 勇気と元気をもらってるんだから。」

平祐「女学校友達というのは 謎だな。 最初は 2人して怒ってて 次見たら 泣いてて 今見たら 笑ってる。」

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