自宅
愛「ありがとうございます」
純「もう なんなのよ」
純「ちょっと? 大丈夫?」
トイレをノックする純
純「ちょっと? ねえ まさか 死んだりしてないわよね? ちょっと?」
愛「あの…」
純「あ 大丈夫?」
愛「よかったら このままで 聞いてくれませんか?」
純「もう1人の純さんのこと?」
愛「純は 小さい頃から 体が弱くて 入退院を繰り返してたんですけど 高校の時に 白血病だと 診断されました 2年以内に 骨髄移植をしないと 治らないって 言われて 僕らは 二卵性だったから 適合しなくて 他の家族もダメで ずっと そう人が現れるのを待っていたんですけど 結局 高校2年生の時に 純は 苦しんで 苦しんで」
純「うん」
愛「なのに 僕は ちっちゃい時から 風邪一つひいたことなくて 勉強も 運動も 習い事も なぜだか人並み以上に出来たんです まるで母のお腹に中に居る時に 純が持つハズだった 能力まで 全部奪い取ったみたいに 純は死ぬ間際に こう言ったんです『なんで僕が死ななきゃいけないんだ』って『なんで なんで 愛ちゃんじゃないんだ』って」
愛「純のお葬式の時 母の顔が 鬼のように見え始めたんです『なんで双子なのに あなたが 適合しないんだ』って『なんで 弟を なんで 純を見殺しに したんだ』って 始めは幻覚だと思いました でも それからも ずっと 一緒で 家族の顔を見るのが 辛くて 辛くて」
純「それで 家を出たの?」
愛「8年ぶりだったんです 人の顔を マトモに見るの それに あなたの名前が『純』だったから なんか 運命みたいなもの 感じて でも あなたに抱き着かれた時 目の前に弟の顔が 現れたんです『お前といると 彼女が不幸にぞ 僕みたいに』って
おじぃ どうしよう こいつと 一緒にいると 大変だね きっと…
純「いい加減 出てきなさいよ もう 出すもん出したんでしょ?」
でも 私は…
純「ねえ 今の私は どう見える?
愛「いつもの 純さんです」
純「あんたが 人の本性 見える 見えない それを信じるのは 私の自由だって 言ったよね」
愛「はい」
純「じゃあ 私は 信じる あんたを 信じる 誰になんと言われても 誰になんと思われても 私は そうすることに決めた」