厨房
桐野「失礼します 狩野を連れてまいりました」
げっ! 携帯じじぃに くしゃみじじぃ
純「何か 御用でしょうか?」
米田「君 昨日12時過ぎてるのに お客様にコーヒーを持って行ったんだって?」
純「はい!」
露木「なんで そんな 勝手なことするんや!」
純「えっ? はい?」
露木「内が経費削減のためルームサービスの24時間制を辞めたのを知ってるやろ!」
純「え? だって たった5分しかオーバーしてないし」
露木「一度例外を作ったら 歯止めが利かなくなるんや こういうこと それにお前が勝手に持っていったもので 食中毒でも 起こされた どないするんや?」
米田「この前も 勝手のお客様の肩を揉んだらしいけど ホテルがなんでも やるって勘違いされたら 困るだろが」
純「でも お客さんは帰る時に また 来るって 言って 喜んでくれました」
米田「そんなことは どうでもいいんだ 今」
純「はっ? お客さんが 喜んでくれるのが どうでもいいって どういうことですか?」
米田「ホテルには 各セクションにプロが居て みんな 一生懸命仕事をしてるんだから 勝手なことをしたら 迷惑をかけるんだと言ってるんだ」
純「でも お客さんには セクションとか そういうの 関係ないし」
米田「いい加減にしろ! ホテルは お前1人がやってるんじゃないんだ! ちょっと待て 一体 どんな教育してるんだ?」
(携帯の着信)
露木「少し甘やかしてるんやないか? こんな くだらないトラベルは君のレベルで止めてくれないか?(くしゃみ)」
米田「はい いつも お世話になっております」
もしかして あなたも 腹立ってるんでしょ? こいつらに だったら 何か言ってやってよ
桐野「申し訳ありません 以後気をつけます」
米田「分かればいいんだ」
露木「これ以上 俺たちに余計な仕事を増やさんといてくれよ」
米田「社長になりたいとか 夢みたいなこと言うのは勝手だが もうちょっと自分の立場わきまえた言動をとるように」
露木「宮古島の人間なら もうちょっと 控え目で穏やかに仕事をした方かいいんとちゃうか?」
米田「なんだ その顔は?」
露木「お前 向いてないんちゃうか? この仕事」
純「じゃあ 教えて下さい お二人は なんのために仕事をしてるんですか? 生活のためですか? 出世のためですか? 会社が儲かって 自分の業績が上がれば それでいいんですか?」
米田「いい加減にしろ 何様のつもりだ」
露木「お前みたいなタイプが一番 困るんや 何も分かってへんくせに スタンドプレイや 文句ばっかり言うて」
米田「バカみたいな 夢や理想論を言いたいなら どっか他所のホテルでやれ 迷惑だから」
純「私は 何と言われようと お客さんに頼まれたら また同じことしますから」
米田「何だと?」
露木「また そんな」
純「だって そうじゃないですか お客さんに喜ばれなきゃ 何の意味もないじゃないですか っていうか お客さんの笑顔にできなかったら ホテルの負けじゃないですか って ウチのおじぃは言ってました」
純「それから ホテルで一番大事なのは こっちの都合じゃない お客さんの都合だとも言ってました セクションだの 経費削減だの そんなのお客さんには関係ないっちゅうの ついでに言わせてもらえば 宮古島にも こういう カッカする人間はいるんです すいませんね!」
おじぃ ごめん
純「私は 私は」
ダメだ 私
純「自分がやってることがすべて正しいとは思わないですけど スタンドプレイとか 人の邪魔してるとか 文句ばっかり言ってるとか そんなこと言われるなら」
やっぱり 我慢できないよ
純「そんなこと 言われるなら このホテル このホテル このホテル こっちから辞めてやr」
(皿が割れる音)
愛「すみません」
あんた なんで ここにいるの?