狩野家
善行「はい もしもし 狩野でございますが」
ゲッ! なんで お前が出るんだよ?
善行「はい? どちらさまで?」
純「あの もしもし」
善行「なんや?」
純「あの お母ちゃんいる?」
善行「今な ご近所に出かけてるわ 模合があるとか なんとか言うてな」
純「そっか じゃあ いいや」
善行「ああ」
純「あ! ちょっと待って あのさ 参考までに聞きたいだけど もしね 部屋で迷惑かけるようなお客さんが居たら お父ちゃんならどうする?」
善行「なんや それ? は? あれか? お前ひょっとして この俺を試してるんやな?」
純「あのさ 被害妄想も いい加減にしてくれる?」
善行「なんや その口の聞き方は? 言うとくがな お前は 家を出て行った人間や 気安く電話してくるな!」
純「そんなことだから 剛も出ていくのよ そのうちね みんな 家から いなくなるんじゃないの? お母ちゃんにもね 今のうちに ちゃんと優しくしとかないと あとで後悔しても知らないからね」
善行「後悔というのはな あとで悔やむと書くんや あとで後悔する なんて言い方は 日本語として間違てんのや そんなことも知らんのか?」
純「そんなことは今はどうでもいいの だから 逃げてないで こっちの質問に答えなさいよ」
善行「おう よう覚えとけよ お前みたいに 人に文句ばっかり 言うてな 結局は周りの人間にたくさんの人たちに 迷惑かけるやつのことを四文字熟語で なんて言うか知ってるか?」
純「あーー!」
善行「おっ!油断した」
晴海「誰からですか?」
善行「いやいや 間違い電話や」
晴海「そうですか?」
オオサキプラザホテル
休憩室
もう なんでこうなるのよ
純「うわー」
イスから落ちる
愛「フフ」
純「ちょっと! 何へらへら してんのよ? 人がこんなに悩んでるっつうのに」
愛「大丈夫ですか?」
純「大丈夫です!」
愛「何だか 純さん見てると色々と 面白くて」
純「のんきのなこと 言わないでよ ちょっと あんた的に良いアドバイスとか ないわけ? こっちはね 北見さんがチェックアウトしちゃおうとしてるのを 待ってもらってるわけ」
愛「すみません」
純「結局さ 親父に言われたみたいに 私は 文句ばっかり言って 人に迷惑ばっかりかけてるだけなのかな? ここで働くなら 気に食わなくても ここのルールに 従うしかないのかな? 私1人が ジタバタしたところで みんなに社長 社長って 言われてバカにされるだけだし 結局さ このホテルを 魔法の国に変えることなんか できないんだよ あぁ もういい もういい だったら」
愛「ダメです ダメです あなたは 自分で決めなくちゃ あなたの お客さんに喜んでもらいたい お客さんに笑顔になってもらいたい って思いがウソじゃないなら」
純「いや でも…」
愛「あなたが 本当に社長だったら 本当にここの社長だったら どうするんですか? すみません」