「せ~の!」
(崩れる音)
オハラ洋装店
孝枝「何や 切ないもんですね。」
糸子「ん?」
孝枝「思い出のある部屋が 壊されるちゅうんは。」
糸子「ハハハッ! ほうか?」
孝枝「ほんな事 ないですか?」
糸子「90過ぎたら 思い出なんぞ もう どうでもええで。」
孝枝「え?」
糸子「それより 今と これからや。 こ れ か ら!」
孝枝「そら まあ 結構な事で。」
糸子「なあ 浩ちゃん。 今日のお昼 何にしよう?」
浩二「何にしましょうか?」
糸子「肉 食べたいわ!」
孝枝「また 肉?! 先生『控えなさい』て 言われてるやないですか!」
糸子「かめへん うちは 今を生きるんや。 ヘレカツ!」
孝枝「え?」
篠山「ああ ええですね。」
糸子「なあ ヘレカツ! ヘレカツがええな。」
浩二「ええですねえ。」
糸子「浩ちゃん あれ どこのやった? こないだの ごっつい おいしいの。 佐々木さんが 買うてきてれたやんか。」
孝枝「もう 好きにして下さい。」
糸子「フミちゃん あれ!」
フミ子「どこでしたっけ?」
糸子「ほら あれや。 ヘレカツや ヘレカツ。 あ~ ヘレカツ 食べたいなあ。」