連続テレビ小説「カーネーション」第146回「あなたの愛は生きています」【第26週】

糸子「まあ うちかて まだ 人生が どないなもんか よう分かってませんけど たった一つ 自信持って言える事が あるんです。」

記者「はい 何でしょう?」

糸子「うちが 何かをして それが 成功した時ちゅうんは 必ず 自分やのうて 相手のためを思て した時なんです。」

記者「はい。」

糸子「欲かいて 自分のためにした時は 全部 失敗しました。 そら見事に。 エッヘヘヘヘ ハハハ!」

記者「ああ それは つまり あの『与えうるは 受くるより 幸いなり』っていうやつですか。」

糸子「何それ?」

記者「『聖書』の言葉です。」

糸子「それですわ! あげんのは もらうより ずっと得や。 ほんまに そない思います。」

孝枝「はあ~ ええ言葉やなあ…。」

糸子「も~! まだけ うなぎ! ちょっと遅すぎんでなあ?」

篠山「いや 電話して まだ15分ですよ。」

糸子「せやけど おなかすいた~! ちょっと 浩ちゃん もっぺん 電話してみ。」

孝枝「やめて下さい 恥ずかしい。」

糸子「何が恥ずかしいんや! こっちは 早う うなぎ食べとうて 待ってんや。『早うしてや』って 言うてるだけや。」

孝枝「新聞に こない ええ格好 言うといて。」

糸子「ああ? せらせや あんた。 こんなん 人一倍 欲深い人間やないと 言わんで。」

浩二「そういうもんですか。」

糸子「当ったり前や! 初めから 欲無いような人は こんな事 考えんで ええんや。 欲深いからこそ さんざん 痛い目に遭うたあげくに たどりつくんやないか。 あ~あ も~! うなぎ~! 早う~! うなぎ 来いや~!」

回想

糸子「待っとれ!」

<あれから4年。 うちには 2つ 手柄があります。 1つは オハライトコで 紳士物のラインを立ち上げた事。 これも ボーイフレンドらが応援してくれて ひとまず 順調に行ってます。 もう一つは>

香川「はい 撮りますよ~! 皆さん 笑って下さ~い! 笑って下さ~い! 桜井さんも 笑って下さ~い!」

<奈津を 老人ホームに 放り込むんに 成功した事です>

回想終了

病院

待合所

龍村「糸子先生。」

糸子「はれ 院長。 こんにちは。」

龍村「今日は 診察ですか?」

糸子「はあ そうです。」

龍村「あ そないゆうたら こないだ 奈津さんが ホームから 検診に来られてましたよ。」

糸子「はあ どないでした?」

龍村「う~ん 大丈夫ですよ。 まあ 相変わらずの お姫さんぶりでしたけどね。」

糸子「ほうですか。 お世話になりました。」

龍村「いいえ。 ま 先生も お体 お大事に。 じゃ。」

糸子「香川さん。」

香川「あ 先生。 あ 院長 見ませんでした?」

糸子「院長 ハハハッ 出ていきはったで。」

香川「はあ~ また もう逃げられてしもた。」

糸子「ご苦労さん。」

香川「ほんまに あの人 ワインとゴルフの事しか 頭に ないんやさかい。」

糸子「まあまあ。」

<ほんでも『何で 今更 小原のサルの世話に ならなあかんねん』。 そない言うて 渋る奈津を 根気よう説得してくれたんも あの人やったさかい うちも もう 悪口 言えません>

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