連続テレビ小説「カーネーション」第18回「熱い思い」【第3週】

木岡履物店

♬~(ラジオ)

善作「けたくそ悪い!

♬~(ラジオ)

善作「靴?! どういうこっちゃ? 木岡! 靴て どういうこっちゃ? 靴て?」

木岡「あわわわ… 善ちゃん。」

善作「説明せえ! お前 あんだけ 靴は 置かんちゅうとったやないけ?!」

木岡「いや そやけど これはな 時流やからな。」

善作「何が時流じゃ! 今更。『そんなもんに乗って たまるかい』と ほえとったのは どこのどいつじゃ?!」

木岡「そ そ… そやけどな。」

美代「小原さん しゃあないがな。」

善作「何や?」

美代「世間の人が 下駄より 靴 買うように なってきてんやし。 うちかて ほとほと 下駄が 売れへんかったんが 試しに 靴 入れてみたら 今日かて 飛ぶように売れと。 あんなあ うちのおとうちゃんも お宅もな 日本人の誇りやとか そないなもんに しがみついちゃあたら もう あかんねん。 世の中 変わっていってんやて。」

木岡「お前 女のくせに 善ちゃんに 何ちゅう 偉そうな事 言うねん! 善ちゃん すまん! 堪忍やで! このとおりや。」

善作「とうとう わしを怒らしたな!」

小原家

(カラスの鳴き声)

糸子「お父ちゃん! お父ちゃん! あのな これな…。」

善作「やかましい!」

糸子「何や?」

居間

ハル「ほれ あんたも手伝わんかいな。」

糸子「お父ちゃん あのな… 渡したいもんがあんねん。」

ハル「あとにしたら どや? なあ 御飯のあとに。」

善作「何や? これ。」

糸子「アッパッパや。」

善作「何やと?!」

糸子「お父ちゃんに着てもらいたて 作ってん。 生地かて ごっつい ええのんやし 男の人が着ても おかしないし 夏は涼しいし 動きやすい!」

善作「おい ほかせ!」

糸子「何で? うち お父ちゃんに 着てもらいたて…。」

善作「うるさい! はよ ほかせ!」

千代「へ… へえ。」

翌日

善作「うん。」

千代「へえ。」

<お母ちゃんの事やさかい ほんまに ほかしては ないやろうけど 返してもろたかて どうなるもんでも ないしな。 負けへんで! うちは 次の手ぇ考えたる>

糸子「ごちそうさんでした!」

小原呉服店

客「毎度!」

善作「へえ いらっしゃい!」

客「いや~ あっついなあ。 かなわんで この暑さ。」

善作「ほんまでんなあ。 浴衣ですか?」

客「いやいや 今日はな 足袋だけ 買いに来たんや。」

善作「そうですか。 へえ。 そう言わんと まあ 見ていくだけ 見てって下さいな。」

客「いやいや 今日は ええって。 ほんまに。 うん?」

千代「あっ! ああ… あ…。」

善作「何ですか? それ。」

千代「あの すんません。 あの それ…。」

客「アッパッパか? これ。」

千代「いや あの… すんません。 ちょっと そこに うちが 昨日… すんません。」

客「なんぼや?」

善作「それ 売りもん ちゃいますがな。」

客「何や 売りもん ちゃうんかいな。」

善作「アホやな お前。 ほかしとけ 言うたやろ!」

千代「へえ あの… すんません。」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク