連続テレビ小説「カーネーション」第22回「誇り」【第4週】

あらすじ

善作(小林薫)は根岸(財前直見)に土下座して、糸子(尾野真千子)に洋裁を教えてほしいと頼む。ある日、糸子が家に帰ると、根岸が善作に謡を習っていた。根岸は、1週間だけ小原家に泊まり謡を教わる代わりに、糸子に洋裁を教えることにしたのだという。糸子は大喜びし、千代(麻生祐未)たちも洋食を作ろうとするなど、張り切って準備する。いよいよ、その日、洋服を着こなした根岸が、岸和田の街をさっそうと歩いてきた。

22ネタバレ

スティンガーミシン教室

善作「こんにちは。」

根岸「え~と… どこかで?」

善作「木之元… 木之元~!」

木之元「はあ? あっ 毎度 先生~! 木之元でございます。」

根岸「岸和田の?!」

木之元「はあ。 あ こっちは 小原呉服店の主人で こないだは お世話になりました。」

根岸「それは気付かずに失礼致しました。 今日は? お二人で 心斎橋に出ていらしたんですの?」

木之元「はあ 善ちゃんが 何や『先生んとこに どないしても連れてけ ボケ!』ちゅうよって。」

善作「先生! 本日は 先生に お願い事があって 岸和田から出て参りました。 時間 とってもらえませんやろか? このとおりです!」

バーラー・浪漫堂

「ご注文は お決まりですか?」

善作「コーヒーちゅうたら あれか? 黒いやつか?」

「そうです。」

善作「味は どんな味すんねん?」

「味? 味は 苦いです。」

善作「苦い? わしでも 飲めるか?」

「さあ…。 飲めるんと ちゃいます? みんな 飲んではるさかい。」

善作「ほな コーヒー。」

「かしこまりました。」

根岸「こんにちは。」

「いらっしゃいませ。」

根岸「あ お待たせしました。 申し訳ありません。」

善作「いやいや。」

「お待たせ致しました。」

♬~(レコード)

善作「おう… ホホホッ はあ。 いや お願いちゅうのはですな 先生。」

根岸「ええ。」

善作「うちの娘に 洋裁 教えちゃってくれませんやろか?」

根岸「その事でしたら 糸子さんにも お話しをしたんですけども 私は ここでは あくまでも ミシンの講師なんです。」

善作「分かってます! それは 先生ほどのお方 立場も 事情も 山ほど おありでっしゃろ。 そやから もちろん それなりのお礼を させてもらうつもで来ました。 いやいや そんなん言うたら 大げさなようやけど それくらいの覚悟で お願いに上がりました。」

善作「情けない話 呉服屋ちゅう商売は もう 先 ありませんわ。 世間の言うとおり これからは 洋服の時代です。 糸子は 言うたら 行き当たりばったりの 勢いと 馬力だけの娘です。 せやけど 洋服 作りたいちゅうのだけは あれが 十の年から 一日として 変わりません。 ミシンかて 覚えたい一心で パッチ屋に勤めて3年 きっちり 一人前になりよった。」

善作「正直 呉服屋の親父としては 意地張りたい事も あります。 けど もうそろそろ 降参ですわ。 これから わしは あいつの洋服 作るちゅう夢を 助ける側に回らな あかんと 思うようになりました。 せやけど 岸和田にも心斎橋にも 先生のような方は おらん。 いや おったら とうの昔に 糸子が 飛びついちゃるはずです。 どないしても 先生やないと 教われん事がある。」

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