連続テレビ小説「カーネーション」第43回「果報者」【第8週】

玄関

(戸をたたく音)

糸子「へっ?!」

(戸をたたく音)

糸子「嫌!」

千代『糸子~。』

糸子「えっ?!」

(戸をたたく音)

千代『糸子 開けて~。』

(戸をたたく音)

糸子「あっ あ~ お母ちゃん?!」

千代「はあ~ 寒かったあ! う~ いや~。」

糸子「どないしたん?!」

千代「はあ~ 寒かった。」

糸子「いや~ 寒かった ねっ。」

千代「それが 夕方 引っ越しが おおかた 一段落したら お父ちゃん 途端に あんたの事が 心配になってきたみたいでなあ『糸子んとこ 行っちゃれ! 今すぐ 行っちゃれ!』って 言いだして…。」

千代「ほんまは あんたが 仕事から帰ってくんのん 迎えちゃるつもりで 出かけてきたんやけど 慣れへん道やさかい『あれ? あれ?』ちゅうて 歩いとったら 訳の分からんとこに 出てしもて… はあ~。」

糸子「あ…。」

千代「はっ はれ はれ はれ いや!」

糸子「う~ん。」

千代「いや… ご… ごめんな! 堪忍 ごめんやて。 いや これ… これかいな 看板?」

糸子「うん。 エヘヘヘ… ほら。」

千代「は~あ~! まあ ええやんかあ! 小原洋裁店… へえ~! いや~ あ~! はあ…。」

糸子「何や…。」

千代「う~ん?」

糸子「お母ちゃんの顔 見たら やっと この看板 喜んでもええ気ぃ なってきたわ。」

千代「喜びいな あんた 何ぼでも。 あんたの看板や! とうとう 小原洋裁店が できるんやで。」

糸子「うん… そやな。 そやけどな…。」

千代「ん?」

糸子「うちのせいで 家族が バラバラになってしもたんや。 お父ちゃんが ず~っと しんどかったんやて思たらな…。」

千代「あれあれあれあれ…。」

糸子「うちは… なんちゅう事 してしもたんやろ。 みんなに どないして謝ったら ええんやろと思たらな…。」

千代「アホやなあ。 そんな事 思わんでええ。 あんたは ただ 頑張ったんやし。 お父ちゃんかて 静子らかて あんたが悪いなんか ちっとも思てへん!」

ハル「あれ? 来ちゃあったんけ。」

千代「はい。」

ハル「あれ? どないしてん 糸子。」

糸子「おばあちゃん あっち行ってて!」

ハル「何や? 泣いてんけ?」

糸子「『あっち行って』て 言うてるやろ!」

<それから しばらくして ちょうど 桜が咲いた頃に>

玄関前

「気を付けてや!」

「どないや?」

「ええんちゃう?」

<うちの屋根に 小原洋裁店の看板が上がりました>

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク