<住吉の岡野商店に 毎朝200個のおはぎを 卸すことになりました>
<安子が初めて受けた 大口の注文でした>
道中
るい「痛え 足が痛え。 もう歩けん。 (泣き声)」
安子「ごめん ごめん。 るい。 ほら おいで。」
るい「(泣き声)」
安子「ごめんね。 しっかり つかまっとれえよ。」
岡野商店
岡野「え~! 我孫子から歩いてきたんかいな。」
安子「すみません…。こねん遠いたあ思わなんで…。」
正子「小さい子連れて むちゃしたら あかんで。」
岡野「座りぃ。」
正子「お座り。」
安子「すんません。」
正子「いいえ。」
安子「ああ…。」
正子「はい どうぞ。」
安子「ありがとうございます。」
正子「いいえ。」
るい「ありがとうございます。」
正子「フフフッ ええ子やなあ。」
(自転車のベル)
回想
稔「怖おねえから。 前見て 前。」
安子「あ~ いけん いけん いけん! 離したらいけん!」
稔「離すよ!」
安子「いけん いけん いけん いけん!」
稔「大丈夫。 顔上げて こぎ続けとったら 前 進むから。 そら!」
安子「あ~! あ~ いけん! あ~!」
回想終了
るい「ハハハハッ! フフフフッ。」
安子「るい。 転ばんっように気を付けられえ。」
るい「は~い! これ 何じゃろう?」
安子「まあ ヨモギじゃな。」
るい「ヨモギ?」
安子「うん そうじゃ。 あっ 食べられるんよ。 摘んで帰ろうえ。」
るい「は~い。」
安子「そう そう そう。 こねんして… ほっ フフフッ。 う~ん 天ぷらにしょうか お浸しにしょうか…。 あっ! ええこと思いついた。」
るい「何?」
安子「お楽しみじゃ。」