別日
ラジオ・磯村『さて 皆さん 夢の超特急について…』。
平助「出来たで。」
和子「は~い。」
ラジオ・磯村『驚きのニュースが 飛び込んできました。 なんと試験車両が モデル線区で 時速256キロを達成…』。
平助「256キロ!?」
ラジオ・磯村『大阪から東京まで 3時間で走ることを目指しているんです』。
平助「3時間…。」
和子「ホンマかいな…。」
ラジオ・磯村『開通予定は 東京オリンピックの直前の…』。
西山♬『またも出ました 西山さん いつもニコニコ朗らかに 和子ちゃん』
和子♬『オイヤー』
西山「アハッ! ♬『るいちゃん』」
るい♬『アイヨー』
西山「アハハッ るいちゃんも すっかり大阪人やなあ。 ほな 貼らしてもらうでえ。」
平助「またか。 またか!」
西山「今度のは すごいでえ。」
和子「毎回言うてるやない。」
西山「いや 条映の社運を懸けた大作や。 通常の3倍の予算かけたっちゅう話やで。」
平助「へえ~。 さぞかし豪華キャストなんやろうなあ。 いやいや… 誰やねん。」
和子「あっ? 伴 虚無蔵?」
平助「聞いたことあらへんで。」
西山「いや あんたらは知らんやろうけど。 条映の秘蔵っ子やがな。」
るい「へえ~ この人ですか?」
平助「秘蔵っ子いう年には見えんけどなあ。」
和子「せやけど どっかで見たことある気ぃするわ。」
平助「わしも。 あれ どこやったかいな。」
るい「そしたら 行ってきます。」
平助「あっ うん 行ってといで」
和子「頼むわな。」
るい「は~い。」
平助「う~ん? どこやろ…。」
和子「ちょっと前にな…。」
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
ベリー「『若大将』シリーズの第4弾え。 前売券 2枚あんねん。 ジョー。 一緒に見に行かへん?」
錠一郎「う~ん…。 トミーと行ったら?」
ベリー「何でやの。」
錠一郎「大学生の青春とか何とか 僕は よう分からんから。」
ベリー「分からんからこそ 映画で体験するんやんか。 同時上映の『マタンゴ』いうのんは 恐怖映画の最高娯楽巨編やて。 なっ? 行こ。」
錠一郎「ごめん ベリー。 またセッション聴きに来て。」
ベリー「もう!」
木暮「懲りひんなあ ベリーちゃん。」
ベリー「青春映画もあかん。 恐怖映画も 宇宙活劇もあかん。 水族館も遊園地も どこ誘てもあかん。 どないしたらデートしてくれんの ジョーは!」
木暮「ベリーちゃん 押しが強すぎるんとちゃう?」
ベリー「どういう意味?」
木暮「う~ん…。 追いかけられた逃げるんは 世の常やろ。」
ベリー「そやさかい 何?」