連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第49話「1962-1963」【第11週】

木暮「あの~ そやから… もっと こう… 控えめな態度とってみるとかやな。」

ベリー「ふん。 そういう女 一番嫌い。」

木暮「え~?」

ベリー「私は興味ありません 欲しい思てません そんな顔した女に限って 気ぃ付いたら 何もかも手に入れてんねん。」

木暮「そうなん?」

ベリー「そうえ。 絶対 そうえ。 ええ年して分かってへんな。」

(ドアが開く音)

木暮「すんません。」

るい「こんにちは。」

木暮「ああ サッチモちゃん。 ご苦労さん。」

るい「あっ ベリーさん。 こんにちは。」

ベリー「はい こんにちは。」

木暮「何か 飲む?」

るい「いえ 結構です。」

木暮「そない言わんと。 新しい紅茶 仕入れたんやで。」

るい「いえ まだ配達が…。」

ベリー「それ~! それや それや それや その態度や。 『いえ 結構です』。 そない言うたら 相手が もう一押し來ること分かってんねえ。 分かった上で いっぺん断んねえ。 控えめな皮をかぶった強欲の塊や。」

るい「あの~…。」

ベリー「けどな そんな したたかな女に 私は負けへん。 『いのち短し 恋せよ乙女』や。 じっと待ってる暇なんか 私にはないねん!」

木暮「あ…。」

るい「何の話でしょうか?」

木暮「気にせんとき。」

るい「でも…。」

木暮「ごめんな。 悪い子やないねんけど。」

るい「はい。 分かってます。」

木暮「『いのち短し 恋せよ乙女』… あっ 『ゴンドラの唄』か。」

屋根裏

♬~(トランペット)

♬~(トランペット)

るい「あ… こんにちは。 お洗濯物 お届けに来ました。」

錠一郎「ああ ありがとう。 そこ置いといて。」

るい「はい。」

錠一郎「こないだの『ジャズ・ジャーナル』 どうやった?」

るい「あっ あの記事読みました。 トランぺッターの日野皓正さんの…。」

錠一郎「『インドネシア演奏旅行』?」

るい「はい。 音楽はいいですね。 言葉がなくても どこの国でも通じるから。」

錠一郎「ハハッ 今更?」

るい「すいません。 ホンマにそうやなって つくづく。」

錠一郎「だって それが サッチモちゃんの名前の由来でしょ?」

るい「はあ…。 それは?」

錠一郎「昨日 思いついたフレーズ。 忘れんうちに書いとこう思うて。 吹いてみる?」

るい「えっ。 えっ… あっ いえ。 あの 私は…。」

錠一郎「はい。 左手は ここ しっかり持って。 そう。 で 小指 ここ 掛けて… 親指は下。 そう そう そう。 しっかり支えて。 で 唇に当てて…。」

ホール

♬『いのち短し 恋せよ乙女 あかき唇 褪せぬ間に 熱き血潮の冷えぬ間に』

屋根裏

るい「配達行かんと。 失礼します。」

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