亜矢美「親分 話を しめらせないで下さいよ。」
藤田「それを救ったのが咲太郎だ! 闇市で きったねえ 野良犬みてえな咲太郎を拾ってきて…。」
咲太郎「ひでえな 親分。」
藤田「ハハハ…。 それが 亜矢美の生きる力になったんだよ。 また 踊れるようになったんだよ。」
亜矢美「はい おしまい! この話は おしまい。 ほら こうやって しんみりしちゃうから だから 話したくなかったの。」
なつ「ごめんなさい。」
亜矢美「そんな しめっぽく謝んないの。」
カスミ「よし 歌おう!]
亜矢美「いいね カスミねえさん! よっ!」
カスミ♬『紅いルージュにひかされて 今日もくるくる風車』
1階居間
亜矢美「くる… くるくる回って…。」
咲太郎「何言ってんだよ…。」
2階廊下
なつ「亜矢美さんは?」
咲太郎「眠ったよ。」
なつ「酔いつぶれるなんて珍しいね 亜矢美さんが。」
咲太郎「そうだな。 あっ なつ 俺 今から事務所に戻るから 母ちゃんのこと よろしくな。」
なつ「今から?」
咲太郎「うん。 やることがあるんだよ。」
なつ「もう ほとんど そっちで暮らしてるみたいだね。」
咲太郎「忙しいからな。」
なつ「ふ~ん。 ねえ お兄ちゃん…。」
咲太郎「うん?」
なつ「亜矢美さんが 今まで結婚しなかったのは 伊崎さんって人がいたからなんだね。」
咲太郎「俺も その話を聞いてからは 何も言えなくなった。 母ちゃんには また幸せになってほしかったけどな。」
なつ「お兄ちゃんがいることが 理由じゃなかったんだね。」
咲太郎「バカ… そこまで 俺の面倒を見る義理はねえだろ。」
なつ「うん… まあ そうだよね。」
咲太郎「じゃ 母ちゃんのこと頼むな。」
なつ「うん。」
1階居間
亜矢美「咲太郎…。」
東洋動画スタジオ
作画課
<新しい年も 相変わらず なつは 仕事に追われる日々でした。 『百獣の王子サム』は 大人気となって アニメーターや演出家も 次々と新しい人間が投入され 放送期間は 1年半にもなってゆきました。>
荒井「よっしゃ 今日も いったってや~! どんな感じ?」
<その間に なんと茜ちゃんが あの人と 電撃結婚をしました。>