一同「ええ~っ!」
下山「いや~ 一か八かで告白をしたら オーケーをもらいました。」
(拍手)
下山「皆さんの前で 僕は 永遠の愛を誓います!」
茜「いやいや… ここで誓わなくてもいいから!」
(拍手)
神地「ちょっと待った!」
茜「神っち…。」
神地「いや それはないよ 茜ちゃん!」
堀内「往生際が悪い。」
茜「自分でも驚いてるのよ。 でも… 前から好きだったって気付いたの。」
下山「僕も驚いています。」
♬~(スピーカー『東洋行進曲』)
神地「茜ちゃん 最後に俺と踊って下さい!」
茜「えっ?」
神地「君との別れのダンスを 体が覚えていれば いつか 仕事の役に立つ時が 来ると思うんだ!」
茜「う… うん いいわよ。」
神地「あっ 手… はい。 あっ ちょっと あっち行って。」
下山「うわっ ちょっと おい…!」
神地「ステップ。」
茜「ステップ?」
神地「ステップ。」
茜「何? これは…。」
坂場「さすが神っち…。」
なつ「どんな時も前向きだわ。」
♬~(スピーカー『東洋行進曲』)
神地「ああ…。」
神地「ああ かわいい! 回って 回ろう 回ろう 回ろう… 回って 回って… 回ろう 回ろう…。」
<なつには 全く そんなこともなく テレビに追われる日々が続きました。 そして 翌年の春。>
昭和40(1965)年 春
第二会議室
井戸原「下山君。 君には 今度 長編映画の作画監督になってもらいた。」
下山「作画監督?」
仲「原画や動画 全てを監修して 1本の作品に仕上げる そういう責任がある者を 置こうと思ってるんだ。」
井戸原「つまり アニメーターの仕事を 全て指揮する監督だ。 いいね。 茜ちゃんを物のした 君のしたたかさに 我々は かけてるんだ。」
下山「それ 関係ないでしょう。」
井戸原「うん まあ 冗談なんだけどね。」
下山「は?」
井戸原「我々としては 君しかいないと思ってるんだよ。」
下山「分かりました。」
仲「そこで どんな企画をやりたいのか 演出家は 誰がいいか それを考えて 我々に提案してくれないか。」
下山「はあ…。 あっ… だったら 演出は イッキュウさん… 坂場一久君でお願いします。」
井戸原「いや 彼はダメだよ。 彼には テレビを 続けてもらうことになってるんだ。」
下山「なんとか 彼に チャンスを 与えてやってくれませんでしょうか? 仲さん お願いします。」
仲「長編漫画映画は 今 お客の数が減ってきてる。 失敗したら 後がないかもしれないよ。」
下山「だったら なおさら 僕と一緒にやるのは 坂場イッキュウしか考えられません!」