連続テレビ小説「なつぞら」第119話「なつよ、笑って母になれ」【第20週】

坂場家

なつ「ただいま。」

坂場「あっ お帰り。 早かったね。」

なつ「うん…。 また切ったの?」

坂場「大丈夫 もう慣れたから。」

なつ「指切ることに慣れないでよ。」

坂場「そっちは どうしたの? 顔色が あんまり よくないみたいだけど。」

なつ「うん…。 ちょっといい?」

坂場「うん。」

なつ「今日 仕事中に貧血を起こして 倒れてしまったの…。」

坂場「えっ?」

なつ「あ… それは 大丈夫なんだけど 念のため お医者さんに診てもらったら…。」

坂場「うん。」

なつ「できてた。」

坂場「えっ?」

なつ「赤ちゃん。 赤ちゃんが… できてた。」

坂場「よかったじゃないか。」

なつ「本当に? イッキュウさんは うれしいの?」

坂場「うれしいよ… 君は うれしくないのか?」

なつ「うれしいよ…。 お医者さんに言われた瞬間は 信じられないくらい うれしい気持ちになった。 だけど… どうするの? 私は 仕事を辞めるわけにはいかないよ…。 辞めたくないよ…。」

坂場「できた以上は 産まないという選択肢は ないだろ 僕たちに。 だったら そんなことは とても小さなことだ。 君が 母親になるってことに比べたら。」

なつ「やっぱり… 仕事より大事ってことよね。」

坂場「そうじゃない…。 産むと覚悟を決めて 仕事のことは 考えればいいと言ってるんだ。 一緒に考えよう。」

なつ「一緒に?」

坂場「うん。 幸い 僕は 今 家で働いてるわけだし 君を支えることができると思うんだ。 たとえ 契約になったとしても 仕事を続けたいなら 好きなだけ続ければいい。]

坂場「それで もし 会社が その後の君の仕事を認めれば 次からは ほかの女性も 働きやすくなるだろ? 子どもを育てながら アニメーターを続ければ そういう戦いにもなるんだ。 君が その道を作るんだよ。」

なつ「道を作る…。」

坂場「そういう開拓精神が 君には あるはずだろ。 一緒に頑張ろう。 な。」

なつ「じゃあ… 喜んでいいのね!」

坂場「当たり前だ。」

なつ「ありがとう。」

坂場「こちらこそ。」

<おめでとう。 なつよ 笑って母になれ。>

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