咲太郎「女将さんが 料理を作るんですか?」
千遥「私は 料理人ですから。」
咲太郎「そうなんですか…。」
千遥「何か お好みはございますか?」
咲太郎「あ それなら… 最後に 天丼が食べたいです。 お願いできますか?」
千遥「天丼ですか?」
咲太郎「それが どうしても食べたくて…。 お願いします。」
千遥「天丼…。 はい できます。 分かりました。」
千遥「前菜になります。」
一同「頂きます。」
なつ「おいしい! とても おいしいです!」
千遥「ありがとうございます。」
咲太郎「本当に うまい… うまいよ 女将さん!」
千遥「どうも。」
上田「皆さん お友達ですか?」
咲太郎「いえ 私たちは こう見えて家族なんですよ。」
上田「ご家族ですか?」
咲太郎「彼女は 私の妻です。」
光子「光子と申します。」
千遥「どうも。」
咲太郎「それから…。」
なつ「私は 妹です。」
明美「私は その下の妹です。 最近まで 北海道にいたんですが 東京に 転勤になって。」
回想
千遥「明美ちゃんに似てるね。」
明美「千遥ちゃんにも似てるよ。」
回想終了
信哉「僕は 彼女の上司ですが ここにいる みんなとは 昔から きょうだいのように つきあってるんです。」
上田「なるほど。 いいですね。 あたり お願いします。」
信哉「そこにいる咲太郎という男は こう見えて社長なんですよ。」
上田「社長さんですか?」
咲太郎「いや それほどのもんじゃないですよ。」
信哉「テレビの外国映画や テレビ漫画に 声を吹き込む俳優がいるでしょう? そういった俳優のプロダクションを 経営してるんです。」
上田「へえ~ 芸能関係ですか それは ご立派な。」
信哉「だから こんな すてきな方とも 結婚できるんです。」
上田「全く 羨ましい限りで。」
咲太郎「いや それほどのもんじゃ…。」
光子「そこは あなたが謙遜しなくてもいいの。」
咲太郎「あ… いや 実際 俺には過ぎた女房なんです。」
光子「ちょっと 咲ちゃん 何言ってるの?」
咲太郎「よく 俺なんかと 結婚してくれたと思います。 とても心が広くて優しいんです。」
光子「ちょっと…。」
千遥「いいですね。」
咲太郎「はい。」
上田「お願いします。」
明美「そちらも ご夫婦で料理人なんて すてきじゃないですか。」
上田「あっ いえ 私は ただの板前ですよ。」
明美「あ… 違うんですか?」
千遥「主人は 店には出ていないんです。」
明美「そうですか。」