連続テレビ小説「なつぞら」第149話「なつよ、千遥よ、咲太郎よ」【第25週】

御料理 杉の子

<そして なつと咲太郎は 千遥の話し合いの場へ向かいました。>

千遥「兄と姉です。 この人が 私を育ててくれた 置屋のお母さん。」

なほ子「光山なほ子と申します。」

咲太郎「兄の奥原咲太郎です。」

なつ「姉のなつです。」

咲太郎「千遥を助けて頂き ありがとうございました。」

なつ「ありがとうございました。」

なほ子「やめて下さいな。 いいんですよ…。 私が 勝手に 千遥を娘にしたんです。 私を恨んでないんですか? 千遥が結婚する時に 昔の家族とは縁を切らなくてはいけないと 言ったのは 私なんです。」

咲太郎「いえ それも 千遥のためを思ってのことですから。」

なつ「あなたに出会えて 千遥が どれほど救われたか…。 そのことは 私たちが 一番よく分かります。」

なほ子「まあ… ありがとう。 けど… 千遥の決心を聞いて 私も 本当に責任を感じました。 全ては 私のうそから 始まったことですからね。」

千遥「お母さんのせいなんてことは ないから…。」

(戸が開く音)

なほ子「あっ 女将さん。 清二さんも お久しぶりです。」

清二「どうも。」

咲太郎「初めまして。 千遥の兄の奥原咲太郎です。」

なつ「姉の なつです。」

雅子「千遥さん これは一体 どういうことなんです?」

千遥「申し訳ありません。」

千遥「私の父は戦死して 母は空襲で亡くなりました。」

なつ「空襲で母を亡くしたあとは 家も焼け出されて 私たちは 子どもだけで 生きなければなりませんでした。 終戦の頃は 上野の地下道で暮らしていました。」

雅子「浮浪児だったの? あなた。」

千遥「はい。」

咲太郎「それから 孤児院に送られたんです。 そこで 千遥だけ なんとか連絡のついた 親戚の家に預けました。 まだ 千遥が5歳の時です。 その親戚の家で 千遥は つらい目に遭ったらしく 6歳の時 そこから家出をしたんです。」

雅子「家出?」

なほ子「千遥は 見ず知らずの復員兵に拾われて その人が うちの置屋に 千遥を連れてきたんです。 私は そんな千遥を育てるうちに かわいくなって… それで身寄りのない子として届け出を出し 自分の養子にしたんです。 あのころは そういうことも たくさんあったので…。」

千遥「それで 私は救われたんです。」

雅子「つまり そういうことを隠して うちの嫁になったということね?」

清二「どうでもいいでしょう そんなことは…。 母さんだって分かっていたことだろう。」

なほ子「分かっていたんですか?」

雅子「それは 何かあるとはね…。 うちだって商売をしてますから 結婚する時に あなたが置屋に 売られたことぐらいは調べましたよ。 私は反対したけど この子が ほれていたし うちの人が そんなことは気にするなと言ってね。」

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