連続テレビ小説「なつぞら」第152話「なつよ、あっぱれ十勝晴れ」【最終週】

とよ「なっちゃん? テレビ? ああ 漫画かい? そりゃ見てるさ。 あれのおかげで あんた うちは大もうけなんだわ。 観光客が増えてるべさ。 なっちゃんに 足向けて寝らんないわ。」

泰樹「昨日 見たか?」

とよ「昨日? ああ。 あれ 昨日だったかい… 見たよ。 あれかい… あんたと なっちゃんの別れを 思い出したんかい?」

泰樹「朝日を思い出したんじゃ。」

とよ「朝日?」

泰樹「ああ…。 何度も見た ああいう朝日を… 開拓してる頃にな。 この土地は捨てよう… そう思っても 朝日を見ると 気力が湧いてきた…。 ここで諦めるなって… 励まされた。」

とよ「へえ~。」

泰樹「そういう朝日を なつが見してくれた…。」

とよ「夜明けに感動したんかい…。 まあね 夜明けに励まされるってことは 何度もあったね。」

泰樹「なつは… そういうものを作ってるんじゃ。」

マコプロダクション

<なつたちの制作は 梅雨に入る頃に 大詰めを迎えました。 スケジュールは遅れ 放送の前日 ギリギリに なんとか完成することも 当たり前になっていました。>

作画室

(電話の呼び鈴)

麻子「はい マコプロです。」

藤森『もう いい加減にしろよ マコちゃん! 演出を呼べ 演出を!』

麻子「演出は 今 あいにく出払っています。」

藤森『ふざけるなよ お前ら。 本来なら 1週間前に 納品する約束だろう! それを 前日でいいなんて 開き直ってないだろうな!』

麻子「すみません。 開き直っているわけじゃないんです。 もう それしかないんですよ 視聴者の期待に応えるためには。 ここで手を抜けなんて言ったら みんな開き直って 逃げ出してしまいます。」

藤森『おいおい… 脅かすなよ マコちゃん。』

麻子「すみません。 彼らを支えているのは もう いいものを作っているという プライドしかないんです。 絶対に 穴はあけませんから… よろしくお願いします。」

藤森『はあ… 頼んだよ。』

(電話の切れる音)

石沢「局の藤森さんですか?」

麻子「そう。 いい? 絶対に イッキュウさんに 言っちゃダメよ。」

石沢「はい。」

麻子「苦情を 現場に伝えちゃダメ。」

石沢「あ… 分かりました。」

麻子「作品の質は 最後まで 絶対に こっちで守るわよ。 こうなったら 私も腹くくるわよ。」

玄関前

町田「あっ…! あ~!」

作画室

町田「すいません! 回収した動画のカット袋を 水たまりに落としてしまいました!」

下山「ええっ!」

町田「すいません!」

石沢「何やってんだよ!」

麻子「すぐ確認して!」

石沢「あ~ あちゃちゃちゃちゃちゃちゃ…!」

麻子「何か 拭くものある?」

石沢「あららら…。」

下山「はい はい はい はい はい…。」

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