居間
照男「ダメだ…。」
泰樹「牛が鳴いてるべ。」
照男「えっ?」
泰樹「牛が鳴いてるのが聞こえんのか!」
なつ「じいちゃん…。」
泰樹「すぐ牛舎行け! 牛を 放っておくな!」
富士子「父さん…。」
泰樹「牛は 決まった時間に搾ってやるから わしらを信用して いい乳 出してくれるんじゃ。 こっちの都合で待たせるな! 手で搾るんじゃ!」
なつ「搾らなかったら 乳房炎になるべさ!」
泰樹「牛を助けるんだ。 照男 行け!」
照男「分かった。」
泰樹「手の空いてる者は みんな来い!」
剛男「お義父さん すいませんが 僕は農協に向かいます。 ほかに困ってる農家が あるかもしれないんで すぐ対策を考えます。」
泰樹「剛男 頼む… 行け。」
泰樹「なつ すぐ着替えてこい。」
なつ「分かった! 千遥 子どもたち お願い。」
牛舎
菊介「おやっさん! なっちゃん!」
泰樹「菊介 どうじゃ?」
菊介「分娩間もない牛から搾り始めてます。」
泰樹「うん。」
なつ「あと 乳房炎に かかったことのある牛もいれば 先に搾った方がいいと思う。」
菊介「そうだな。」
泰樹「なつ ついてこい。」
なつ「はい!」
泰樹「なつ この牛 搾れ!」
なつ「分かった。」
夕見子「じいちゃん 私にも教えて!」
坂場「僕にも教えて下さい!」
泰樹「教えてる暇はない… 見て覚えろ。」
坂場「はい。」
なつ「イッキュウさんは 集乳缶 運ぶの 手伝った方がいいわ。」
坂場「うん 分かった。」
富士子「夕見子 あんたには 私が教えるから。」
悠吉「おやっさん!」
菊介「おやじ!」
なつ「悠吉さん!」
悠吉「遅くなりました!」
泰樹「よく来てくれた。 牛 頼む。」
悠吉「はい!」