倉田「ほら やっぱり。 出るしかないだろ。」
なつ「え~…。」
雪次郎「はあ はあ…。 あっ 何だ なっちゃん 来てたのかい。」
倉田「おい みんな 聞いてくれ。 奥原が 今日から 演劇部に入部した。」
一同「ええっ?」
倉田「勝農演劇部 女優 第1号だ!」
一同「おお~!」
なつ「いや… ちょっと待って下さい! そんなの無理です!」
雪次郎「大丈夫だ なっちゃん。 みんな下手だから ハハハ…。」
なつ「そうじゃなくて!」
倉田「心配するな。 高校演劇は あんまりうまいと お客が冷める。」
なつ「もう そうじゃないんです!」
倉田「ん?」
なつ「時間がないんです。」
倉田「時間?」
なつ「家の仕事をしなくてはならないし そんな時間は作れません。」
倉田「放課後の1時間だけでもいい。 日曜日だけだっていい。 働きながらやるのが 俺たちの演劇だ。 お前の思い じいちゃんに響かせろ。」
なつ「じいちゃんに?」
倉田「うん。」
柴田家
旧牛舎
なつ「あ~ じいちゃん。 ほら この子 よく飲むようになったわ。 もう元気になった。」
泰樹「そうか。」
なつ「じいちゃん…。 いろいろと ごめんなさい。」
泰樹「何 謝る? いや… わしこそ悪かった。」
なつ「えっ?」
泰樹「天陽と会うなと言ったわけじゃないんだ。」
なつ「うん 分かってるよ。」
泰樹「天陽の牛にも 罪はない。 干し草も 持ってってやれ。」
なつ「ありがとう。 ねえ じいちゃん…。 やっぱり じいちゃん大好き。」
泰樹「おいおいおい… バカ。 いちいち家族に んなこと言うな。」
なつ「ハハ…。」