昭和21(1946)年5月
語り<はい 今は 昭和21年 戦争が終わった翌年の初夏です。 なつは 初めて 北海道・十勝にやって来ました。 まだ 9つの時です。>
剛男「どうだ 広いだろう。 東京は焼け野原だけど ここは 本当の野原だ。」
なつ「お~!」
剛男「ああ… ハハ…。」
なつ「うわっ…。 あっ。」
剛男「どうした? あっ… タンポポか。 あっ! ああ…。 何だ 腹減ってんかい。」
剛男「もう少しの我慢だよ。 あの~ なっちゃん。 ここまで来て言うのもなんだけど 最初は 怖いおじいさんが いるかもしれないけど 大丈夫だからな。 おじさんは 婿養子なんだ。 まあ いいや。 行こう。」
なつ「うん!」
<どうして なつが この大地で生きることになったか まずは そこからお話ししましょう。>
柴田家
剛男「あれが おじさんの家だ。 今日から なっちゃんの暮らす家だよ。 行こう。」
玄関前
富士子「剛男さん! 剛男さんが帰ってきた! 照男! 夕見子! お父さんが… お父さんが帰ってきましたよ!」
照男「お父さん!」
夕見子「お父さん!」
富士子「あなた お帰りなさい。」
剛男「ただいま。 やっと帰ってこられたわ。」
富士子「きっと帰ってくるって信じてました。」
剛男「照男 夕見子 大きくなったな。 よく今まで頑張った。」
照男「お帰んなさい。」
夕見子「お帰んなさい。」
剛男「明美か! もうこんなに大きくなったんか。 お父さんだぞ ず~っと会いたかったんだ。 うん? ほ~ら よしよし よしよし…。」
富士子「分かる?」
剛男「お義父さん ただいま戻りました。」
泰樹「うん よく戻った。」