連続テレビ小説「なつぞら」第41話「なつよ、今が決断のとき」【第7週】

なつ「違うの…。 そじゃない…。 私は ずっと いつか ここを出なくちゃなんないって そう思ってた。 それを隠してた。 隠しながら 酪農をするのが自分の夢って 言ってきたんだわ…。」

雪之助「そりゃ しかたないべさ。 なっちゃんには 本当のきょうだいが… 本当の家族が ずっと どっかにいたんだから。」

雪次郎「なっちゃんは ずっと苦しんでたのかい?」

とよ「だから ずるいのかい?」

妙子「そんなこと ちっとも ずるいなんて 思うことないわよ。」

なつ「違う! 本当は違うの。 本当は 自分勝手で… 自分勝手な理由で… 今は あの家を出たいって思ってんのさ。 ここまで大きくしてもらって 何の恩返しもやんないまま じいちゃんにまで 気ぃ遣わせて…。 私は じいちゃんを だましてしまったことになったんだわ…。」

とよ「なっちゃん… よく分かんないけど 東京行ったらいい。 そこまで 自分の気持ちが分かってんなら 行くべきだ。 したけど そういう気持ちも じいちゃんに しゃべったらいい。」

とよ「なっちゃんと じいちゃんは な~んでも言い合える仲になったんだべ? な~んでも 我慢しないで 言い合えなければ ここでは 心まで しばれてしまうんだわ。」

なつ「とよばあちゃん…。」

とよ「そう思って 私は 舅 小姑とも戦ってきたよ! 夫が エンドウ豆の相場で 女と借金作った時も 子どもを守るために 家を出たんだ。 後悔はない。 したから なっちゃんも強くなんないと…。」

妙子「お義母さん! お義母さんの体験 なっちゃんには当てはまらんべさ。」

とよ「そうかい…?」

なつ「ありがとう とよばあちゃん おじさん 妙子さん 雪次郎君 ありがとう。」

雪次郎「なっちゃん 東京行くべよ。 一緒に頑張るべ!」

妙子「あんた やっぱり頼ってるっしょ。」

雪之助「お前は お前が頑張ればいいんだ。」

妙子「うん。」

とよ「ハハハハ…。」

雪次郎「そだね。」

なつ「みんな 本当にありがとう。 うん… じいちゃんに話してみる。」

とよ「うん。」

柴田家

新牛舎

回想・天陽「泰樹さんは たった一人で 海を渡って 北海道に来たんだべさ。 泰樹さんは なっちゃんにとって 見本だべさ。 誇りだべ? したら なっちゃんが どうすべきか 自然と分かるだろ。」

詰め所

悠吉「なっちゃん。 東京行くって 本当かい?」

菊介「おやじ。」

なつ「うん… 春になったら そのつもり。」

悠吉「そのまま こっちに 帰らないってこともあんのかい?」

菊介「そんなことないべさ。 帰るべよ。 帰るべ?」

悠吉「帰んなきゃダメだ! そりゃ 兄さんのことが心配なのはわかる。 したけど… おやっさんの気持ちだって ちょっとは分かってやれんべか…。」

なつ「分かってる。 それは よく分かってる。」

菊介「おやじ。 俺らが口挟むことじゃないべよ。 おやっさんも言ってたべ なっちゃんを自由にしてやれって。」

悠吉「俺だった… なっちゃんの家族だと思ってんだよ!」

菊介「俺だって そうだよ! 家族だから 待っててやればいいべさ。」

泰樹「おい 仕事しろ。」

悠吉「はい…。」

なつ「じいちゃん…。」

新牛舎

なつ「じいちゃん!」

泰樹「ここにいる時は 牛のことだけ考えろ。」

居間

泰樹「ごっつぉうさん。」

なつ「じいちゃん… ちょっと待って。」

なつ「ごめんなさい。 私 うそつきました。」

富士子「なつ…。」

剛男「うそって何だ?」

明美「もしかして 東京行かないってこと? なつ姉ちゃん。」

なつ「本当は 東京に行きたいのは 兄に会うためではなくて… 本当は やりたいことがあるからです。」

剛男「やりたいことって何だ?」

富士子「黙って聞いてやればいいべさ。」

剛男「ああ…。 しゃべれ… 何でもしゃべれ。」

なつ「漫画映画を作りたいのさ。」

剛男「漫画映画?」

富士子「やっぱり…。」

剛男「えっ 知ってたのかい? 富士子ちゃんは。」

富士子「黙って聞こ。」

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