馬小屋
天陽<なっちゃん ありがとう。 こっちでは もう初雪が降って 畑も真っ白くなり 絵を描く時間も増えました。 人に認めてもらうために 描いているわけではないけど 人から認められることは やっぱり大きな喜びですね>
なつ<私の描く絵は 人から認めてもらわなければ 何の価値もありません。 だけど それは おいしい牛乳を 飲んでもらいたいという気持ちと 少しも変わらないような気がします。 私は 単純すぎるのかな>
天陽<俺も 単純に 好きな絵を描きたいと 思ってるだけだよ なっちゃん。 だけど それは 世の中で一番難しいことかもしれない。 泰樹さんのように ただ 荒れ地を切り開くために 俺は ベニヤに向かいたいと思ってる。 なっちゃんも 試験頑張って>
東洋動画スタジオ
昭和31(1956)年12月
試験会場
井戸原「はい お疲れさまで~す。 え~ 6か月の養成期間の中で これが 最後の試験になります。 課題は これまでと同じです。 今日一日8時間で どこまでの動画を描けるか。」
井戸原「いろんな動きを描いてもらい そのデッサン力や 線のきれいさを採点します。 枚数も 15枚以上描かなければ 合格できません。 君たちは 既に6か月を費やしてるんだからね。 まあ 1人を除いて アッハハハハハ…。」
仲「奥原さんは 今 仕上にいますが 今回は 特別に 皆さんと同じ条件で 試験を受けることになりました。」
なつ「あ… よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
井戸原「それでは 始めて下さい。」
<なつよ 頑張れ。 だけど 丁寧にな。>