咲太郎「お前 すごいな。 よく勉強してるな。」
なつ「ねえ 人形の家って ちっちゃい家なの?」
雪次郎「そういう意味じゃないわ なっちゃん。 芝居の大きなテーマだ。」
咲太郎「母ちゃん 貼っていいか?」
亜矢美「母ちゃんが貼ってあげようかい…。」
雪次郎「俺 絶対見に行きます!」
咲太郎「おう。 チケットは任せろ。 30枚は売らせてやるよ。」
雪次郎「えっ?」
咲太郎「えっ?」
雪次郎「えっ?」
咲太郎「えっ?」
雪次郎「えっ… ん? あっ びっくりした 30回 見に行くのかと…。」
2階なつの部屋
<それから なつは試験に向けて 寝る間を惜しんで勉強をしました。>
東洋動画スタジオ
仕上課
<やる気の余波なのか 不思議と 彩色の仕事も上達していくようでした。>
作画課
<試験の教材集めにも 余念がありません。>
中庭
麻子「アニメーターになりたかったのね。」
なつ「あ… はい。」
麻子「早く言ってよ。 恥かいたじゃない。」
なつ「えっ?」
麻子「あなたに… 恥ずかしいこと言ったでしょ ここで。 男の人に会いたい気持ちが にじみ出てんのよとか何とか…。」
なつ「けど 私の白娘にも おんなじこと言ってくれました。 にじみ出てるって。 あん時は うれしかったです。」
麻子「そんな おしゃれなんかしてるから いけないのよ。」
なつ「いや マコさんだって 十分おしゃれじゃないですか!」
麻子「あなたのおしゃれと 一緒にしないで。」
なつ「あ… そうですよね。 美大出てるんですもね。 十勝農業高校の私とは違いますもね。」
麻子「ハハハハ…。 ハッ 自慢してるみたい。」
なつ「えっ?」
麻子「あなた 自分が田舎者だってことに 自信持ってるでしょ。」
なつ「どんな自信ですか? それって。」
麻子「ハハハハ…。 うちの試験 受けんだって?」
なつ「はい。 あ それも マコさんのおかげです。」
麻子「あの絵で? あなたには無理よ。」