ゆがふ
恵達「(ため息)」
兼城「どうした? 恵達。 あ? なんか 元気ないねぇ。」
恵達「いいっすね 店長は。」
兼城「え? フフン なんか うれしくない言い方だ。」
恵達「何でもないです。」
(戸が開く)
兼城「ああ…。」
恵里「あれ?」
兼城「いらっしぃ 1人?」
恵里「ええ。 お酒 もらおうかなぁ。」
兼城「おう。 はいよ。 ん?」
恵里「いいですねよねぇ 店長は。」
兼城「は? そんな… 俺だってね 掘り下げると 問題は山積みだよ。」
恵里「いいですよ 無理しないでも。」
兼城「いや 無理ってさ…。」
恵里「恵達 どうかした? 何か あったの?」
恵達「え? あ いや 別に どうもしないよ。」
恵里「そう?」
恵達「そっちは? いい 大体 想像つく。」
恵里「何か それは。」
(2人のため息)
(戸が開く)
柴田「こんばんは!」
ハナ「はい はい。」
兼城「おばぁ お帰り。」
ハナ「はい ただいま。」
柴田「どうも 恵里さん。」
ハナ「どうしたんだよ? 2人とも。」
2人「いいねぇ おばぁは。」
柴田「どうかしたんですか?」
兼城「いいねぇ あんたは。」
柴田「は?」
ハナ「泡盛。」
兼城「はいよ。」
ハナ「いいね?」
柴田「はい。」
ハナ「どうした? 2人とも しょぼくれた顔して。」
恵里「ううん。」
恵達「別に。」
ハナ「そうね?」
恵里「あ そうだ おばぁ。」
ハナ「ん?」
恵里「いつか 話してたことだけどさ。」
ハナ「何が?」
恵里「ほら 東京には 前にも来たことがあるって。」
恵達「そうそう。」
柴田「そうなんですか?」
兼城「そうなの? おばぁ。」
ハナ「その話ね。」
恵里「ほんとに そうなの?」
ハナ「ホントさ。 何年前になるかねぇ。 おばぁの 19歳の春っさ。」
恵達「『19歳』?」
ハナ「初恋に人 追ってね。」
恵達「え?」
ハナ「ん?」
(戸が開く)
恵里「兄い兄い!」
恵尚「ハイサイ! 久しぶり! ハハハハハ…。」
恵尚「おばぁ!」
恵尚「ワ ワ ワ…。 すみません 間違えました。」
逃走する恵尚w
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