外食業界のカリスマ・鷹野研次郎
白坂隼人「でも何年か前に居酒屋経営から引退したと聞いたんですけど」
大平茂幸「そんな凄い人が、なんで内みたいな店に?」
鷹野研次郎「恥ずかしながら私ここ数年は飲食業界自体と離れて暮らしていたんですよ」
芹沢達美「3年前ですね経営していた居酒屋とは別の洋食チェーンでバイトテロが起きたのは」
鷹野研次郎「ええ、対応の不味さで店は閉店しましたし、損害賠償した学生バイトが自殺未遂をした挙句一家離散してしまいましてね。それがどうにもやりきれなくて」
夏川彩「でもそれって自業自得なんじゃ?」
白坂隼人「そうですよお店のほうがむしろ被害者なんですから」
鷹野研次郎「もちろん私は当時はそう思っていました。でも、後になってから考えたんですよ。若いアルバイトの悪ふざけを止めるような指導を自分はしていたか?」
芹沢達美「アルバイトが勝手にやったことでも雇用責任、監督責任がありますものね」
鷹野研次郎「仰る通りです。先ほどの芹沢社長の言葉を借りるなら、私はあの時店や人ではなく経営しか見ていなかった。だからこそ今度はしっかりと店と人と向き合う商売をしてみては?言われてコンペに参加することを決めたのです。橋爪ようこ先生のお誘いでね」
汐見ゆとり「お母さんが?!」
芹沢達美「汐見あなたまだ気づいてなかったの?じゃなきゃこんな偶然あるわけないでしょう」
鷹野研次郎「申し訳ない橋爪先生の名前を最初に出すと絶対に拒否されるからって言われていたものだから」
汐見ゆとり「当たり前ですよ!」
鷹野研次郎「まあとにかく大平さん、奥さん、このおおひら食堂、私が責任をもってお引き受けいたします」
大平茂幸「どうぞよろしくお願いいたします。鷹野さんみたいな人に継いでもらいると安心ですよ」
鷹野研次郎「松井君と板垣君だったよね。君たちもし良かったら、この店で一緒に働かないか?」
松井正弘「いいんですか?」
鷹野研次郎「この店はこれからもっと繁盛するし、規模も拡大していく、私なら君達に独立のノウハウを教えてあげられるからね」
板垣勇次「それば願ってもない話しです」
鷹野研次郎「これで腕利きの料理人とマルチプレイヤーを2人ゲットだ!我々の商売にとって人脈は宝だからね」
汐見ゆとり「凄い」
芹沢達美「全く腹立たしいほどね」
汐見ゆとり「え?」
後日
汐見ゆとり「おおひら食堂連日の大繁盛みたいですよ」
芹沢達美「そう」
汐見ゆとり「私バイトの面接の件も含めて凄くいい勉強になりました」
芹沢達美「分かったからもう仕事に戻んなさい」
汐見ゆとり「あの社長なんだか怒ってません?この間も腹立たしいとか言ってましたし」
芹沢達美「腹立たしいわよ。だから、ボーナス査定は夏川と白坂が普通、須田がマイナス、で汐見、あなたはなし!」
汐見ゆとり「どうしてですか?鷹野さんは私の候補者ですよ?」
芹沢達美「橋爪ようこの紹介でしょ!ノーカウント!」
汐見ゆとり「なんなんですか、それ?個人的な感情で!」
芹沢達美「ねえ汐見、前に言ったハズよ?あの大平夫妻からはガッポリコンサル料を頂けそうだって?」
汐見ゆとり「それは聞きましたけど?」
芹沢達美「他の2人の候補者だったら、それぞれ問題があったからこれからも指導にあたれたし細く長くコンサルを続けていられた。でも、あの鷹野が相手だったら、そういうわけにはいかないでしょう?」
芹沢達美「内は大損よ!つまりこれは橋爪ようこが仕掛けた私への嫌がらせだったってわけ、だからあなたはボーナスなし、むしろ首一歩手前。反論は?」
汐見ゆとり「ありません・・・」