矢子「あ~ 楽しくて おいしかったな~。 じゃあ そろそろ帰るね。」
野本「来てくれてありがとう。」
春日「駅までの道 大丈夫ですか?」
矢子「うん! あ~ でも… 南雲さんに送ってもらっちゃおうかな?」
南雲「え?」
矢子「ちょっと散歩がてら 送ってくれない?」
南雲「うん。 いいけど…。」
矢子「やった~。」
野本「南雲さん お願いします。」
南雲「うん。」
矢子「じゃあ お邪魔しました。」
野本「は~い。」
春日「お気を付けて。」
矢子「うん。 あっ 春日さんちに タコ焼きグッズ 置かせてね。」
春日「はい。」
矢子「ありがと~う。」
道中
矢子「急に連れてきちゃって ごめんね。」
南雲「えっ… あ ううん。」
矢子「何かちょっと話したいなって思って。」
南雲「うん。」
矢子「あ~ 今日も楽しかったね~。 大人になってから こういう友達できるの うれしいわ。」
南雲「私も。 本当にそうだよね。」
矢子「二人に部屋挟まれててさ 引っ越しちゃったら寂しいんじゃない?」
南雲「え… うん。 そうだね。 すごく。」
矢子「だよね。」
南雲「二人といる時間が 私の居場所みたいに 感じたりもしてたから それが変わっちゃうのは ちょっと寂しい。」
矢子「そりゃそうだ。」
南雲「こうやって四人で集まれるのも 今だけなのかな?」
矢子「何で? 集まろうよ 引っ越しても。」
南雲「うん。」
矢子「離れちゃう気がする?」
南雲「二人を見てるとね どんどん自分の道を 進んでいってるように見えて このまま遠くなっていっちゃうような気がするんだ。 自分勝手だよね。 こんなこと言って。 二人は今 家探しで大変なのに。 あ 本当に 応援してるんだけど。」
矢子「う~ん…。 あのさ 人の関係って 星のめぐりみたいなとこあるじゃん。」
南雲「え… 星?」
矢子「うん。 時期によって 近い時もあれば 遠くなることもあるし まあ それ自体 どうしようもないことではあるんだけど。」
南雲「うん。」
矢子「でも 手を伸ばそうとすることは してもいいんじゃないって思うんだよね。 星がね 星のめぐりとしては そうかもしれないけど でも それに抗おうとするのが 人間っていうかさ。」
南雲「うん…。 うん?」
矢子「何か うまいこと言おうとしたけど 分かんなくなってきたわ。 とにかくさ 二人が引っ越しても 会いたいって思ったら連絡して また集まろうって誘ってさ 遊ぼうよ。 大丈夫だよ。」
南雲「うん そうだね。」
矢子「自分勝手かなとか思って 遠慮して 連絡するの やめちゃうことって あるけど…。 でも そうやって 後悔することだってあるから。 後悔しないようにって話。」
南雲「そうだね。 うん。 私も頑張らなきゃな。 みんなに負けないように。」
矢子「え? 何 頑張るの?」
南雲「頑張るのは 再就職先探し。」
矢子「お~ 就活中なんだ。 それは頑張れ。」
南雲「うん!」
矢子「私は特に頑張ってないけどね~。」
南雲「ううん 矢子さんは すごいよ。」
矢子「え~ そう? どこが?」
不動産屋・ホームスイッチ
野本「ここだね。」
春日「はい。」