北栄総合病院
病室
恵理「文也君…。」
文也「恵理。 ふざけるな! 何でだよ。 子供の時 おばぁに 小浜で言われた事 忘れたのかよ。『命(ぬち)どぅ宝』… 命が一番大切だろ? そうだろ? そう思って 生きてきたのでは ないのか?」
文也「だったら どうして 自分の命を 大切にしないんだよ 何でだよ!」
恵理「ごめんなさい。 ごめんね 文也君。 ごめんなさい。」
文也「もうやめてくれよ 俺 嫌だからさ。 恵理 いなくなるの 嫌だからさ。 今度やったら 恵理とは 一緒に いないからね。」
恵理「ヤダ!」
文也「バ~カ!」
恵理「あ!」
文也「また なくしそうに なっただろ? どうしようかなぁ。」
恵理「いじわる。」
文也「和也だよ 和也が 持っていてくれた。」
(ノック)
恵文「あ…。」
勝子「あ…。」
恵理「あ 和也。」
和也「お母さん!」
勝子「和也は偉かったよ。 自分の力で 知らない大人の いっぱいいる 家に 助けを呼びにいってね 偉かったんだよ。」
静子「そう 偉かった。」
恵文「さすがさ 和也は。 やっぱり お父さんの孫だけある。」
ハナ「何がよ?」
恵文「『何が』って おばぁはもう!」
恵理「そう ありがとう 和也。 ありがとうね。」
文也「じゃあ 僕は失礼します。 恵理…。」
恵理「うん。」
そう まだ恵理の病気は 治った訳ではないさ。 これからが大変だよね
和也「キジムナーが 助けてくれたんだよ。」
恵理「キジムナー?」
和也「うん。」
恵理「へえ そっかぁ。」
恵文「でも恵理 もう勘弁してちょうだい 心配かけすぎさ 恵理は。」
静子「そうよね。」
勝子「そうだよね。 元気になったら たっぷり 怒らないとね。」
恵理「さっき 文也君に 思い切り怒られたさ。」
勝子「当たり前さ。」
恵理「すみません。」
恵文「お父さん 寿命が 縮まってしまったさ。」
ハナ「おばぁは縮まらなかった 全然。」
恵文「あ?」
(笑い声)
祥子「失礼します。 恵理。」
奈々子「まったく!」
恵理「すみません。」
祥子「本当だよ もう!」
恵理「婦長 すみません。」
秀美「世話がやけるわ あんたは。」
恵理「すみません。」
勝子「申し訳ありません。」
恵文「本当に すみませんね。」
静子「申し訳ありませんでした。」
秀美「そんなに頭下げられても困ります。 こちらこそ 本当に すみません。」
祥子「恵理!」
恵理「ん?」
祥子「ごめんね 一風館の皆と約束した。」
恵理「え? 何を?」
頭を小突く祥子
恵理「ん?」
祥子「ごめんね 約束だから?」
恵理「は?」