恵里「ま 私も行った事ないから よく分からないんですけど。 あ それに 最近 ウチ ちょっと貧乏で。 ま 元々 お金持ちだったわけじゃないんですけどね。」
恵里「だからなんか言いだせなくて。お母さんなんかは 『大学行きなさい』と言ってくれるんですけど。でも それは 沖縄にある大学の事だと 思うんですよね。 はい。」
容子「で… どうするの?」
恵里「だから バイト バイト。 自分で お金 貯めてるんです。 でもね 親は 家を助けるために バイトしてると思ってるみたいで もう感謝されてしまって 参るんですよね。 勉強も しないといけないし。」
容子「ふ~ん。」
恵里「あ! それに 言おうかな? どうしよう。 言いますね。 東京には 結婚の約束をしている人がいるんですよ!」
容子「え?」
恵里「ハハハ… 容子さん 恥ずかしい!」
容子「沖縄の子って 皆 そんなふう?」
恵里「え? あ!」
容子「今度 何?」
恵里「バイト 遅刻だ! 行かないと…。」
容子「ごめんね 忙しいのに。」
恵里「何 言ってるんですか。 友達でしょう! 怒りますよ。 じゃ! あ!」
恵里「そうだ! 私の お父さん 紹介しますよ。」
容子「お父さん? なんで?」
恵里「タクシーの運転手さんしてるんですよ。 結構 顔 広いから。『顔が大きい』という意味じゃないですよ。 ほら タクシーだから 観光関係の人とか お店の人とか 知ってるかもしれないし。」
恵里「だから 紹介します。 明日にでも…。 守礼門の近くの 大きなガジュマルの木の下で 昼間 車 止めて寝てるんで すぐ分かります。 古波蔵恵文といいます。 私 言っときますから…。 あ そうだ そうだ 目印 目印 はい これ。」
恵里「これを見せれば 私の紹介だって分かります。 よろしくおねがいしますね。 楽しかったさ 容子さん。 じゃ!」
容子「あ! ちょっと! 何これ?」
アルバイト
恵里「はい お願いします!」
恵里「ありがとうございました。 どちらからですか?」
客「東京…。」
恵里「東京ですか!」