あらすじ
昭和23年、オシャレに目覚めた女性たちでオハラ洋装店は大繁盛。糸子(尾野真千子)は娘たちに手を焼き、安岡美容室に度々行かせる。優子(野田琴乃)と直子(二宮星)はケンカが絶えず、マイペースな聡子(杉本湖凜)が加わり騒がしくて仕事にならない。糸子は恵(六角精児)に、泉州繊維商業組合の組合長・三浦(近藤正臣)から話があると聞く。料理屋で久しぶりに会った北村(ほっしゃん。)はリーゼントに柄シャツ姿だった。
87回ネタバレ
小原家
居間
(小鳥の鳴き声)
<久しぶりに神戸のおっちゃんが 来てくれました。 何もかも戦争で 焼かれてしもたもんの そこは腐っても松坂家 跡地に また立派な家が建ちました>
正一「あ~ 前 岸和田 来たん いつやったんかいな? ああ 光子の祝言か。」
千代 糸子「ああ~。」
糸子「あれが去年の春やったさかい ちょうど1年ぶりや おっちゃん。」
千代「そやなあ。」
正一「ああ もう1年なるか 早いなあ。」
千代「なあ!」
正一「あ… これ。」
千代「あれ~ ええ写真 でけたなあ!」
糸子「ほんまや!」
<勇君も 先月 祝言を挙げました>
千代「ほんま よさそうな お嫁さんやったわ~!」
正一「そうか?」
糸子「別嬪さんで 優しそうな人やなあ。」
正一「しかし ここの娘らも みんな 見事に片づいて。 ようやったなあ 糸子。 大したもんや。」
糸子「ヘヘヘヘ!」
千代「そやけど お兄様。」
正一「ん?」
千代「娘が みんな いっぺんに 嫁いでしまうっちゅうんは 寂しいもんです。」
正一「ああ 糸子が おるやないか。」
千代「糸子は…。」
正一「ん?」
千代「これは 息子ですから。」
(笑い声)」
正一「ほんまや。」
千代「なあ!」
(物音)
正一「何や? お? どうした。」
千代「ほれほれ お母ちゃん。」
糸子「すんません ちょっと。 待っといてや。」
2階 座敷
優子「うちが 先や!」
直子「嫌や うちが使うんや!」
(けんかする声)
糸子「あんたら! 次 けんかしたら うちから放り出すて お母ちゃん 言わんかったか!」
優子「直子のブタ 痛い 痛い!」
直子「痛い 痛い!」
糸子「聡子 どこ行った?」
優子「痛い 痛い!」
聡子「え~?」
糸子「あんた いてたんけ?」
聡子「はい。」
糸子「さあ みんなで 神戸のおっちゃんに 挨拶 行くで。 いいかげんにせえって。」
直子「痛っ!」
糸子「行くで 聡子もおいで!」
玄関
優子「おっちゃん さいなら。」
直子「さいなら。」
聡子「さいなら。」
(笑い声)
正一「お前ら 仲良うせえや。 なあ!」
糸子「ほれ!」
優子「はい。」
聡子「はい。」
直子「はい。」
千代「お兄様 これ 荷物になるけど。」
正一「うん?」
千代「お供えして下さい お父様の ご仏前に。」
正一「うん。 分かった。」
千代「気ぃ付けて。 お母様と お姉様に よろしゅう。」
糸子「気ぃ付けて。」
正一「うん。」
<神戸のおじいちゃんは 去年の冬に 亡くなりました>