一風館
管理人室
みづえ「幸せねぇ…。 難しい質問ねぇ。 私はね 見れば分かるかもしれないけど まあ 育ちはいいの。」
恵里「はあ。」
みづえ「え?」
恵里「あ はい そう思ってました。」
みづえ「そう?やっぱりね。 はい どうぞ。」
恵里「頂きます。」
みづえ「私はね 末っ子だったから かわいがられて育ったの。 実際 かわいかったのよ。 だから 年ごろになったら まあ たくさん 縁談があって。]
みづえ「だけど 私が選んだ人は 軍人さん。 そして あの戦争。 とうとう 私の旦那様は 戦地から 帰ってこなかった。 それでね ここの家は もともと 私の父の家だったの。 それを改造して 下宿屋さんとして 始めたの。」
恵里「そうだったんですか?」
みづえ「私は いわゆる 未亡人ってわけでしょ。 だけど 若かったし きれいだったから モテてね。」
恵里「ハハハハ…。」
みづえ「言い寄ってくる男は もう 掃いて捨てるほどいたの。 でもね 帰ってこなかった 私の主人より ステキな人は いなかったのねぇ。]
みづえ「ホント ステキだったのよ。 ヒゲを生やすとね コールマン…。 あ 知ってる? コールマンって…。」
恵里「いえ。」
みづえ「あ 写真があるの。 持ってくるから 待っててね。」
恵里「あ いえ…。 はい…。」
みづえ「これよ はい 分かる?」
恵里「うわぁ ホントだ カッコいいですね。」
みづえ「うん いいでしょう? そして これが 私。」
恵里「あら 管理人さん きれい…。」
みづえ「そうでしょう。 あら?」
恵里「ん?」
みづえ「何の話から こういうことになったのかしら?」
恵里「あ… ハハハハ あ おいしいですね このコーヒー。」
1F廊下
島田と目が合う恵里
恵里「あの…。 チョット もしもし?」
無視して部屋に入る島田w
(ノック)
恵里「あ!」
島田「何?」
恵里「チョット お聞きしたいことが あるんですけど…。」
島田「何?」
恵里「あの… 島田さんは 今 幸せですか? どんな時が 幸せですか? 夢は 何ですか?」
島田「勧誘は お断りだよ。」
恵里「いえ あの そうじゃなくて…。」
ドアを閉める島田
恵里「あれ?」
2F廊下
恵里「とにかく チョット 聞いて下さい。」
容子「いいけど どこで話す?」