恵里「何ですか? さっきから 『ねえ ねえ』 って。 ちっとも 分からないでしょ。 男なら ハッキリして下さい。」
柴田「すみません。」
兼城「ごめんなさい。」
恵里「もう いいです。 変な事 聞いて すみませんでした 忘れて下さい。」
柴田「え いや あの… お願いですから そんなふうに 切り捨てないで…。」
恵里「は? 別に切り捨てるなんて。」
柴田「このまま この話が終わるのは なんか 不本意っていうか…。」
恵里「じゃ 分かりました。 質問を変えます。」
2人「はい。」
兼城「そうして あの… 次の質問は 簡単なヤツを お願いね。」
恵里「『あなたは どんな時に 生きててよかったっていうか 幸せを感じますか?』
兼城「う~ん。 なんか また 難しいねぇ。」
柴田「どんな時かな…?」
兼城「どんな時って言われてもねぇ。」
柴田「う~ん。」
恵里「ないんですか?」
兼城「そんなことはないさ ねえ。」
柴田「そうですよ ありますよ きっと 探せば どっかに。」
恵里「は?」
兼城「あった。」
柴田「え? 何ですか? いいなぁ。」
兼城「俺の場合はね あれだね やっぱり ほら。」
柴田「何ですか?」
兼城「寝てる時かな?」
柴田「そうですよねぇ。 僕もねぇ 会社休みの日 朝 起きますよね。 それで 『今日は 休みなんだ まだ 寝てていいんだ』って思って もう一回 寝るんですよ その時は 幸せを感じるなぁ。」
兼城「分かるよ! 二度寝は 最高。 人生の至福の時さぁ。」
柴田「そうですよねぇ。」
2人「ハハハハ…。」
柴田「期待していた答えとは 明らかに 違ったようですね。」
兼城「であるみたい。」
恵里「あ いえ いいんです。 もう 気にしないで下さい。」
柴田「あ その顔は 明らかにガッカリしてる。 僕に対する評価が 下がってますよね? どうしよう。」
何処かへ行こうとする恵里
柴田「あ 待って下さい。 ごめんなさい。」
恵里「もう いいんです。 お二人に聞いた 私が 間違ってました。」
柴田「そんなふうに あきらめないで。 僕たちだって やればできる…。 ね?」
兼城「やれば やれば できる。」
恵里「なんでこうなっちゃうんだろうな。」
柴田「何でも言って下さい。 どうぞ。」
兼城「どうぞ。」
恵里「じゃ… 分かりました。 これが 最後の質問です。」
兼城「最後かぁ ドキドキするねぇ。」
柴田「ドキドキしますねぇ。」
恵里「お二人の… 夢は 何ですか?」
兼城「夢か…。」
柴田「夢ですか…。」
兼城「夢ねぇ…。」
柴田「何かなあ…。」
恵里「買い物に 行ってきま~す。」
店を出る恵里
柴田「ああいう質問に答えられない 僕たちって 情けないですねぇ。」
兼城「でも 恵里ちゃん どうしたんだろうねぇ。マブイでも 落としたのかね?」
柴田「『マブイ』?」
兼城「『魂』のことさ『魂が抜けたみたいになって 元気がない』という…。」
柴田「心配です。」